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ビジネス哲学の共有は難しい リニューアルしたfeedpathと前COOの思い

2007年04月12日

フィードパス株式会社が、4月10日に新サービスの「feedpath Rabbit」と「feedpath Skunk」をリリースしました。情報源は、フィードパス、「feedpath Rabbit」と「feedpath Skunk」のサービスインを発表です。

「feedpath Rabbit」はフィードパスが2006年1月からコンシューマー向けフィードリーダー(RSSリーダー)である「feedpath」をベースとして新たに開発した新サービス。フィードを「読む」という機能を中心として短時間でユーザーが最新の情報を「検索」「整理」できることをコンセプトに開発された。使いやすく進化したソーシャルフィードリーダーやフィードのトレンドを捕まえるランキングなどがその特徴だ。

新サービスの発表リリースの中で、同社CTO(最高技術責任者)の後藤康成氏は、リニューアルの背景について次のように述べています。

「フィードというキーワードが市民権を得て一般的に認知されるようになった現在、Web上のあらゆる情報はメタ情報としてフィード化され組織化されていくでしょう。「feedpath Rabbit」の洗練されたユーザーインターフェースはビジネスコンシューマにとってWeb上の情報整理ツールとして日常的に利用してもらうことを強く期待します。さらにフィードパスはフィードのリーディングカンパニーとして次なる一歩を踏み出しました。それはインターネット上のフィードをデータベースとして組織化し、あらゆるインターネットサービスからそのデータベースにアクセスしてもらいフィード情報を提供することです。

実は、2006年1月にリリースされたオリジナルの「feedpath」の開発に携わったのは、後藤氏だけではありません。当時フィードパス社のCOOの職にあったのは現サンブリッジの小川浩氏です。その小川氏は、自身のブログの中で今回のリニューアルについて次のような感想を漏らしています。情報源は、feedpath。こんにちは、Google Readerです。

・・・さて、おおよそ予想はついていたが、feedpathが本日付けでリニューアルしたが、僕が設計したものとはまったく違う方向に変わっていた。大量のデータを一気に斜め読みするという用途にはまるで使えなくなってしまった・・・。 僕の設計では使っているうちにどんどんなじんで使いやすくなることを目指していたから、必ずしも初心者に優しいツールであるとは言い難かった。リニューアルされたそれは、初心者や初めて使う人にとって最適化されている(しかし、僕が思うに、使いこなしていくうちに多くの機能や説明が少々ウザく感じる恐れはないか?)

これはまさに、スペック主導で考えた、仕様のFeedリーダーになってしまったことだと思う。
僕は将来たどり着くべき理想を考えて、ロードマップを引いた。だからいままでのfeedpathは”思想”のFeedリーダーであったと思っている。仕様のFeedリーダーなら、 LivedoorやBloglines、フレッシュリーダーのようにもっと優れたものがあるじゃないか、と思うのは僕だけだったのだろうか(T T)。

果たして後藤CTOは、前COOが示した拒否反応を予想していたのでしょうか? 後藤氏のインタビュー記事「シマウマ、スカンク、兎、そして狼 2007年のフィードビジネスを拓くものとは?」には、こうあります。

●後藤 ブログ検索、つまりフィードの検索サービスもTechnoratiや Feedsterに加えてGoogleが参入し、いよいよフィードがウェブ上の情報データベースとして機能し始めてきています。そのなかで feedpathは、「フィードリーダー」機能を中心にそのフィードにユーザーが直接タグを付加して情報を分類し、さらには検索できる「タグサーチ」機能、ユーザーのブログにfeedpathから直接投稿できる「Blogエディタ」など、フィードを“見る”、“書く”、“加工する”、“探す”という新たなユーザー体験を提供しています。これは、前フィードパスCOOである小川さん(現サンブリッジ)と共に僕が提唱してきたフィードに対するフィロソフィー(哲学)であり、今もその方向を目指しています。

「哲学」とは共有するのが難しいものです。そうは言っても、仕事の現場にこの言葉が持ち出されることは、決して珍しくはありません。中には、情報システムとは「会社の哲学」とまで言い切るCIOの方も存在します。情報源は、「システムは会社の哲学です」、加賀電子 下山和一郎 専務取締役です。

情報システムとは会社の哲学です。システム開発とは哲学の具現化です。パッケージを導入してそれで終わり、ということはないはずです。どうしてもカスタマイズが必要になってきますが、最初の段階から深く加賀電子の哲学を理解してもらわないとテストランを始めるころには次々に問題が出てきます。

「売り上げ」、「在庫」、「回収」といった言葉でも、一般的な定義と加賀電子での定義が微妙に異なることがあるのです。こういった言葉をすべて理解してもらわないとボタンの掛け違いのようにシステム開発では、後々不都合が出てきます。

さて、フィードパス社の元COOと現CTOとの間では、「哲学」はどこまで共有されていたのでしょうか? 小川氏のブログの最後は、こう結ばれています。

・・・今日から僕は、Google Readerに日常のFeedリーダーを切り替えました。とっても残念で、寂しい。

体調が最近悪いながら、今日は飲みたい気分です。

小川氏のオリジナルのfeedpathに込めた思いが伝わります。断腸の思いでfeedpathと決別した心境としては、「俺の子供をこんな姿にしやがって」、「かわいさ余って憎さ百倍」といったところでしょうか。

Webサービスではあっても、現場で開発に従事している人の思い入れは、製造業でものづくりに携わる人のそれと同じものなのかもしれません。やはり、仕事の満足感は、金銭的な報酬の多寡でのみ説明できるものではありません。前回の投稿グーグルの「2007年8月問題」:グーグル社員はパンのみに生きるにあらず?とは、真逆の結論ですが。

しかし、もう少し厳しい見方もできます。小川氏が自分の退社後も、自らがオリジナルに込めた思いが脈々と継承されると考えていたのであれば、少し甘いような気もします。当然今回のような事態が起こるであろうことは、十分に予想すべきでしょう。大株主として影響力を行使するといった別の手段があれば、話は別ですが。

今後の小川氏には、後ろを振り返るのではなく、新会社で自らの理想とするサービスを新たに開発することに期待したいと思います。幸いにして、同氏のブログにはオリジナルのfeedpathの復活を望むコメントも、数多く寄せられているようですし。


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