週刊ダイヤモンドで酷評されたトリンプ前社長吉越浩一朗氏が日経ビジネスに登場
2007年05月31日
今朝のスポーツ報知で女優の奥菜恵の芸能界引退が報じられました。夕刊フジの続報によれば、正式に所属事務所との契約も解除されており、引退は確実のようです。その奥菜恵が表紙を飾ったのが、今週発売の週刊朝日です。文中には彼女のハリウッド進出の話なども触れられ、今後も活発な活動が期待できるようなことを伝えていました。
週刊朝日の編集部は、引退の事情を知らぬまま彼女を起用したことを、どう思っているのでしょうか? 少しばつが悪いと感じているのでしょうか? それとも事実上最後に表紙を飾った週刊誌となったことを、大喜びしているのでしょうか?
今回の例に見られるように、起用するタレントのスケジュールを厳密にチェックしようとまでは、週刊誌の方は考えてはいないようです。先月にも、同じ週に発売された週刊現代と週刊朝日の表紙に井川遥が登場し、見た目がほとんど一緒という事件(?)がありました。(前代未聞の珍事? 「週刊現代」と「週刊朝日」の表紙がそっくりに)。
マスコミが話題の人物として取りあげた直後に、それとは反対の情報が発表されて違和感を覚えるケースは、決して少なくありません。今年に入ってこのブログで投稿したケースだけでも、次のようなものがありました。
マスコミがすでに評価が定まっている人物ばかりをとりあげていては、新しいもの好きの読者や視聴者を満足させることはできません。そこで各社とも、他社の手垢がついていない人間を発掘しようと考えます。その結果として、時には思いっきり持ち上げた注目の人物が、予想もしなかった失態を演じるというケースにも、ぶち当たったりするのでしょう。
明らかな誤報でも滅多に認めようとはしない大手マスコミの体質を考えれば、人物評価に見込み違いがあった程度のことは、たいした問題とはならないのでしょう。それくらいのことを失態と感じるような神経を持っていては、マスコミの世界ではやっていけないのかもしれません。
日経ビジネスの冒頭を飾る「有訓無訓」は、功成り名を遂げた著名人が自らの人生哲学を語るコラムです。このコラムをまとめた文庫本も、「有訓無訓(1)」、「有訓無訓(2)」としてシリーズ化されています。今週のコラムに登場したのが、トリンプ・インターナショナル・ジャパン前社長の吉越浩一朗氏でした。情報源は、『「アイデア倒れ」もある 一筋縄でいかない経営』(日経ビジネス 2007年5月28日号 1ページ)です。
「早朝会議」「ノー残業デー」「がんばるタイム」――。
婦人下着メーカーのトリンプ・インターナショナル・ジャパンの社長を昨年末に退くまでに、こうしたキーワードを使った私なりの経営改革を進めてきたつもりです。
改革はうまく機能するとは限りません。しかし、私には強い味方がいた。成功するまで続ければ必ず成功する、という座右の銘です。6割以上の確率でこれはうまくいくと自分で確信を持てれば、それを推し進めてきました。途中で諦めない。最後までやりきる。まさに即断即決の経営を標榜した毎日でした。
社内からはいろんな反発も招きました。毎朝8時半から始める早朝会議では即断即決で決めていくものだから、参加しないメンバーからは「密室会議」と揶揄されました。評判悪かったですね、最初は…。
オフィス内を歩き回ることや電話することを禁止した午後の2時間、通称「がんばるタイム」については、「仕事のやり方くらい自由にさせてくれ」って言われもした。
人間、誰しも新しいアイデアは、自分のものでない限り素直には受け入れないものです。それでも成功するまで続けて19期連続で増収増益を達成してきました。
「成功するまで続ければ必ず成功する」を実践すれば、確かに失敗することはないでしょう。ことの当否よりも、継続することが半ば目的化することの危険性をはらんだ信念であるようにも思えます。しかし、そうした疑問を感じさせないのは、吉越氏には19期連続の増収増益の偉業という、実績の裏付けがあるからです。
実は日経ビジネスのコラムが掲載される一週間前に発売された週刊ダイヤモンドには、吉越前社長の経営改革に疑問視する、『カリスマ社長が去った後のトリンプの“負の遺産”』というタイトルの記事が掲載されていました。
吉越前社長が引退した翌年には、トリンプの業績が減収減益に転じた、その原因はカリスマ社長の長期政権時代に起こった制度疲労にある、というのが記事の概略です。吉越氏の代名詞とも呼べる「早朝会議」による意思決定方式も、新社長により軌道修正されたとも伝えられています(脱・吉越浩一郎化が急速に進むトリンプでは「早朝会議」の光景も様変わり?)。
わずか一週間前に吉越改革の負の側面を知っていた私は、本人の成功談を日経ビジネスで読んで、かなり白けた気分になりました。日経ビジネスの編集部も、吉越氏の業績に疑問を投じるダイヤモンド記事の内容は知っていたはずです。そんな吉越氏を持ち上げるような記事を、すぐに掲載した日経ビジネスの狙いはどこにあるのでしょうか?
日経ビジネスはダイヤモンドに喧嘩を売っているのでしょうか? 吉越氏の援護射撃したかったのでしょうか? 何の考えもなく、単に取材済みの記事を載せただけなのかもしれません。しかし、こうも短い間に同じ人物の業績に対する評価がコロコロ変わると、読者としては戸惑いを覚えるばかりです。
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