郵政公社にセールスフォースを採用した総務省が国産SaaSを海外に売り込み
2007年06月01日
今朝の日経新聞に、総務省が業務用ソフトの売り込みに乗り出すという記事がありました。情報源は、『業務用国産ソフト、ネット通じ売り込み――総務省が後押し、官民で検討会』(日本経済新聞 2007年5月31日 5面)です。
総務省はソフトウエア事業者が会計や顧客管理など業務用のコンピューターソフトをネットを通じて海外の企業に売り込む取り組みを後押しする。欧米の市場調査を実施し、市場規模や企業のニーズを分析。ソフト事業者と連携して官民で検討会を立ち上げ、海外への売り込み戦略や助言をする。
サイボウズなどのソフトウエア事業者はネットでソフトを提供する「SaaS(サース)」と呼ばれる方式を使い、海外の日系企業などにソフトを販売する戦略を立てている。総務省はネットを通じた販路が有力になると判断。国産ソフトの国際競争力を高めるために民間を支援する。海外向けの販売サイトを立ち上げ、英語版ソフトの開発も促す。
ソフトウェア産業の振興は経済産業省の管轄ではないのでしょうか? SaaS型のソフトに限っては、総務省の管轄なのでしょうか? 単純には理解しがたい記事からは、郵政公社の採用したソフトとの関係を邪推したくもなります。情報源は、「日本を代表する組織に選ばれた」――郵政公社がセールスフォースを大量採用です。
セールスフォース・ドットコムは、4月19日、日本郵政公社に同社のSaaS型CRMアプリケーションが採用されたと発表した。来日した米セールスフォース・ドットコムのCEOであるマーク・ベニオフ氏が会見し明らかにした。採用数は5000ユーザーに上り、国内での採用実績としては最大規模になるという。
「日本を代表する企業・組織と最大の契約を結ぶことができたことをうれしく思う。この事例は、今後の他の日本企業の導入において、重要な意味を持つだろう」
米セールスフォース・ドットコムの会長兼CEOであるマーク・ベニオフ氏はこのように話す。同社の「Salesforce」が日本郵政公社の顧客管理システムに採用され、5000ユーザーの利用が決まったことを受けてのことだ。日本法人の代表取締役社長を務める宇陀栄次氏も、「日本の金融機関や官公庁は保守的だといわれがちだが、新しい会社の新しいモデルに対して、フェアでオープンに評価していただいた」と喜びを隠さない。
郵政公社の巨大システムの調達先が米国企業に決定されたことは、日本のソフトウェア業界関係者にとって、大きな衝撃として受けとめられたであろうことは、容易に推察できます。郵政公社を管轄する総務省が、Salesforceにお墨付きを与えたようなものですから。郵政公社での採用を材料にして、対日ビジネスを強化するSalesforceのSaaSを採用する企業は、確実に増えることでしょう。
日本のソフトウェア事業者の立場に立てば、郵政公社とその親玉の総務省は、とんでもないことをした、となるのでしょう。しかし記事をよく読むと、今回のケースの直接の受注先はITゼネコンのNTTデータでした。その点からは、通常の調達パターンと同じという見方もできますが...。
ソフトウェア産業の振興を管轄する経済産業省にすれば、郵政公社の一件は面白かろうはずもありません。総務省に抗議をしたのかもしれません。そうした批判を跳ね返すために、総務省が自ら国内SaaSの輸出振興策に乗り出すことにした、とは考えすぎでしょうか?
そもそも総務省は、日本国内にまともなSaaSがないから、米国のSalesforceを採用したはずです。自国では満足使えないソフトを、海外企業に売り込もうとしているのも、総務省ということになります。そんな矛盾した話は通用しないでしょう。本当に国内に優秀なソフトがあるならば、郵政公社が採用して、それをパブリシティに利用すればいいだけのことです。
今回の総務省の海外売り込みプロジェクトは、ただのポーズのようにも思えてきます。もちろん好意的に解釈すれば、「郵政公社の一件から国内SaaSの競争力の弱さを痛感した総務省が、自らその育成に乗り出すことにした」となりますが...。ソフトでは日本は米国に勝てないと言っている人もいますし、何らかの政策が必要なのは、確かなのかもしれません。
話題は変わりますが、同じ国策的売り込みでもおしゃれなやり方もあります。情報源は、スウェーデン、「IKEA家具持ち帰り」できるSecond Life大使館を設置です。
スウェーデンは5月30日、仮想世界Second Life内に仮想大使館「Second House of Sweden」を設置、一般に公開した。同日、仮想大使館の落成式が実際に行われ、カール・ビルト外務大臣がテープカットを行った。
仮想大使館は、米ワシントンD.C.にある実際のスウェーデン大使館をモデルとし、周辺の環境はストックホルム群島を模した。
大使館内では、ストックホルム国立美術館の展示、ラジオ・スウェーデンのポッドキャスト(英語)を配信するほか、スウェーデンに関連する写真、政治や業界についての情報、仮想スウェーデンフードとそのレシピを提供。またスウェーデンの大手家具メーカーIKEAなどが仮想大使館内に家具を置いており、一部はユーザーが自由に持ち帰って、自分の仮想住宅に使用することができるという。
イケアはどれくらいの費用を負担しているのでしょうか? スウェーデン系の企業は、セコンドライフをマーケティングに活用するのが好きなようです(セカンドライフのソニーエリクソンブースが動画も含めてすごい)。
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Posted by: ポルコ | 2007年06月02日 18:03