スクープ「ライブドアオート社長が自殺未遂か」をネットで流す週刊ダイヤモンド
2007年06月07日
2007年6月7日午後5時30分発で「ライブドアオート社長が自殺未遂か(週刊ダイヤモンド)」という衝撃的なタイトル記事が、Yahoo!ニュースに流れました。このニュースが事実であれば、現職の農林水産大臣の自殺に続き、上場企業の現社長が自殺を試みたことになります。
東証二部上場の中古車販売大手、ソリッド グループ ホールディングス(旧カーチス、旧ライブドアオート。以下、ソリッド社)の代表取締役社長である江川賢記氏が5日未明、都内病院に緊急入院した。現在も ICU(集中治療室)で治療中だが、「話しをできる状態ではない」(親会社のソリッドアコースティックス、以下SA社)という。
同社幹部によれば、「自殺をはかった可能性が高い」。5日夜、江川氏が自宅で大量の睡眠薬を飲んでこん睡状態に陥っているのを、社員が発見したという。 ソリッド社では前期決算の発表をすでに2度延期しており、本日(7日)中に決算発表を行なう予定だった。
SA社が昨年末にソリッド社を買収して以降、SA社長でもあった江川氏らと旧経営陣は経営方針などを巡って対立。インサイダー取引の疑いがあるとして、旧経営陣は江川氏らを刑事告発することも検討していた。 ソリッド社の業績は2006年3月期の売上高410億円、当期赤字34億円に対して、2007年3月期は売上高366億円で当期赤字が144億円と大幅に悪化した模様だ。
SA社では今回の件について、「不眠症のため、睡眠薬を常用していた。(こん睡状態となった当日は)いつもより多量の睡眠薬を飲んでしまったようだ」としている。
このニュースのヘッダーには「週刊ダイヤモンドスクープ」という文字が躍っています。毎週月曜日に定期発行しているビジネス雑誌が、木曜日の夕方にスクープを報じることに何の意味があるのでしょうか? その答えは、このニュース速報の最後にあります。
なお、ソリッド社を巡る内紛劇の詳細については、現在発売中の本誌六月九日号をご参照下さい。
今回の速報では、江川社長の自殺未遂と「ソリッド社を巡る内紛劇」やそれを週刊ダイヤモンドが報じたこととの因果関係については、慎重を期してハッキリとは述べていません。しかし、自殺未遂のニュースをいち早くネットで流すことにより、現在発売中の雑誌の売上げ増につなげようとする、ダイヤモンド社の意図は明らかです。
本来であれば「ソリッド社長が自殺未遂か」というタイトルにすべきところを、敢えて知名度の高い旧社名のライブドアオートを持ち出しているところにも、魂胆が透けて見えます。速報性を競うことではネット系のメディアに対抗することのできない週刊誌が、追加ニュースを流すことで、部数を伸ばそうという苦肉の策です。夕方の時間帯に自殺未遂のニュースを知った人の中で、すぐに雑誌を購入する行動まで起こす人は、実際どれだけいるのでしょうか?
おそらくこの種のニュースが夕刻に流れたとしても、翌朝を待たずして雑誌記事の内容は、ネット上で流されてしまうことでしょう。そう考えると、ダイヤモンド社の苦肉の策も、結局は実売数の増加に結びつく効果は、ほとんどないのではないでしょうか? ネットを利用しようとして、ネットに裏切られるという皮肉な結果が待っているだけのような気がします。
さて、このブログの読者の多くが期待しているのも、週刊ダイヤモンドで掲載された「ソリッド社を巡る内紛劇の詳細」でしょう。『インサイダー疑惑騒動で発覚 ヤマハ元社長一族の復権計画』(週刊ダイヤモンド 2007年6月9日 14~15ページ)が、件の記事です。
ソリッド グループ ホールディングス(ソリッド社)の副社長二人は5月16日、自社の経営トップによる違法疑惑を公表するという異例の記者会見を行なった。同副社長らによれば、「社長らは、今年3月期決算で最大120億円の引き当て計上の可能性を知りつつも、決算発表前の4月19~20日に、株式の一部を2,000万円で売却した」という。
一方、インサイダー取引を指摘された江川賢記社長らも同日に会見を開き、事実無根であることを訴えた。
会見の5日後には、社員30人近くが役員フロアに押しかけ、全社員の8割に当たる458人の名前で、江川社長らに退任要求を突きつける騒動が起きた。
今回の騒動の発端は、昨年12月に遡る。音響機器製造や投資事業などを行なうソリッドアコースティックス(SA)なる会社が、TOB(株式公開買い付け)により、ライブドアからソリッド社(当時の社名はカーチス)の51%の株式を取得。SAの社長だった江川氏がソリッド社の社長を兼任した。だが、TOBのための資金調達方法が、後の火種となる。
この後の記事は、SA社が実施したLBO資金の調達元としてのリーマン・ブラザーズ証券、さらにはリーマンが融資を決定した理由となったある大手企業の創業家の存在、へと展開します。
ダイヤモンド社の努力に敬意を表して、これ以上記事の詳細を書くことは控えます。営業妨害との非難を受けるのも心配ですし。ジャック、ライブドアオート、カーチス、ソリッドと、オーナーが変わるたびに目まぐるしく社名を変えることになった中古車販売会社を巡る複雑な背景事情を知りたい方は、雑誌の記事をじっくりと読まれることをお奨めします。
そういうことで、今回はソリッドがライブドアオートと呼ばれていた時に作られたCMを紹介して、お茶を濁すことにします。出演していたのは、ライブドアの堀江貴文元社長です。CM公開直後にライブドア事件が起こったため、放映期間は極めて短いものになりました。
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