エスカレートする民間検定ビジネスだが、3年後生存率は極めて低いのでは?
2007年07月03日
今週発売の週刊ダイヤモンドに、最近の"民間検定"ブームに関する記事が掲載されました(『ご当地検定からメイド検定まで 拡大する“民間検定”市場の実態』 週刊ダイヤモンド 2007年7月7日号 16~17ページ)。6月15~16日の2日間にわたり実施された「日本語検定」(通称・語検、主催・東京書籍)には、初回にも関わらず全国約320の会場に、2万人もの受講者が殺到したそうです。
国語学者の大野晋氏を監修者に、評議員に政治学者や作家、日本経済団体連合会の草刈隆郎副会長を加えてスタートした同検定。企業を中心に団体受検が250件もあったことは、社会のニーズの高さを示す。背景には昨今の日本語力低下問題がある。東京書籍には、企業から「昨年行なったプレテストの問題でもいいから使わせてくれ」という依頼が舞い込んだ。
企業にとっての興味と動機は、新入社員教育と、内定者とのコミュニケーションだった。また、新入社員が多く配属される営業現場は、日本語の常識を欠いては務まらない。日本語検定はまさに、一石二鳥のツールというわけだ。
こうした企業側のニーズを反映して、9月には「ニュース時事能力検定」(通称・N検、主催・特定非営利活動法人日本ニュース時事能力検定協会、共催・毎日新聞社)が実施されます。
「以前なら、試験などしなくても常識として知っていた時事問題に、若者が驚くほど疎くなっている」と言うのは、毎日新聞社新規事業開発室の小田原健委員。営業に配属された新入社員が取引先で会話のきっかけをつくれず、コミュニケーションができない例が増えているという。
そのため、同検定の発表以来、大手企業からの引き合いが多く、内定者や営業職の社員に受けさせる動きが高まっている。また、AO入試などの優遇措置にと、すでに50以上の大学からも引き合いがきている。
2つの新設民間検定、「日本語検定」(語検)と「ニュース時事能力検定」(N検)の人気を支えているのは、企業や大学からの期待の大きさです。しかし、日本語関係の検定は語検が初めてではありません。その昔明治書院が設立した日本語学研究所が、1998年から「日本語力測定試験」を実施していました。試験を数回開催しただけで終わった同研究所のサイトは、「諸般の事情により、当分の間休止させていただきます」とあり、今では休眠状態です。
このように一過性のブームに終わる可能性も高い民間検定ビジネスですが、その成功の条件ついて週刊ダイヤモンドは次のように分析しています。
各種の検定事業をトータルプロデュースしている日本出版販売(日販)は、採算の目安として、一回当たり平均3,000円程度の検定料として、3,000 ~ 4,000人で黒字になるべく、各主催団体へのサポート体制を敷いている。
同社は、検定の申し込み窓口となる書店と関連本の版元である出版社に強いルートを持つ立場を生かし、企画協力のかたちで主催団体をサポートする。直近の例では、去る6月に行なわれた「ロック検定」。5ヵ所で合計3,000人を集めた。今後は競馬力認定試験「馬検」、クルマ好きには自動車文化検定「CAR検」を開催する。
日販によれば、趣味検定事業に重要なポイントの一つは、「ロック検定」にMTVジャパンの冠を付けたように、その道のステータス(お墨付き)となり、一定数は必ずいる“検定マニア”を引き込めるだけの演出力。もう一つは継続性。ゆくゆくは仕事選びにつながるかどうかもポイントだ。
民間検定ビジネスの旨味は、検定料収入に留まらず、長続きすれば各種公式テキストや問題集の販売収入が見込める点にあります。そのためメジャーな民間検定には、東京書籍や毎日新聞社といった出版関係企業が主催や共催という形で、関わっています。
ちなみに9月実施予定の競馬力認定試験「馬検」は、サンケイスポーツ、競馬エイト等の産経新聞社系メディアの主催です。気になるのは、「馬検」(バケンと読む)の得点と、実際の馬券の勝率との関係です。もし両者に正の相関があることがわかれば、「馬検」も意外と人気化するかもしれません。反対に何の関係もなければ、すぐにポシャることでしょう。
さらに12月には日本メイド協会なる団体が「メイド検定」を実施する予定です。同協会は、「メイド関連事業者同士の情報交換と、メイドさんの情操教育を目的として設立された国内唯一のメイド関連事業者の団体」という触れ込みです。元来「オタクの趣味」でしかなかったメイドに対して、検定という形でまっとうな地位を与えようとしても、受験しようと思う人間は本当にいるのでしょうか? 話題づくりとしては理解できますが、検定ビジネスとしては成功しないでしょうね。
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