自費出版の新風舎が提訴されて朝日新聞叩きに拍車をかける(?)週刊文春
2007年07月06日
同じ大手マスコミと言っても、新聞社と出版社が犬猿の仲にあるのは周知の事実で、特に週刊誌となると、新聞社系と出版社系の雑誌が、互いに相手の記事の内容をあげつらう様子が目につくものです。しかし、本日発売の週刊新潮には、『たまにはエライぞ朝日新聞 「声欄」ボツにしなかった創価学会会員の「政教一致」告発投書』という記事が掲載されました。出版社系の週刊誌が新聞を褒めるというのは、極めて珍しいことです。新潮が褒めているのは、6月25日の朝刊の読者投稿欄に載った『「信仰の場」で、選挙活動とは』です。
今月中旬、創価学会の会館で開かれた地区座談会に誘われて参加し、信じられない光景を見た。
座談会には約30人が参加し、終了後もほとんどの人が残った。女性幹部が「これから参院選の投票練習をします」といい、投票用紙大の白紙を2枚ずつ配った。1枚には公明党推薦の候補者名を、もう1枚には公明党と書くよう指示。書き終えると、幹部が1人ずつ点検していく。「もっとはっきり書いて下さい」と注意された人もいた。
読経をし、仏教哲学を学ぶ信仰の場が座談会という。私は知人に頼まれ、福祉や青少年問題の話をするため出席した。年金問題に取り組む公明党の活動PRの紙芝居もあり、「民主党の菅直人代表代行が厚生大臣だったときに今の制度が作られたので、責任は菅代表代行にある」と幹部は説明。1時間半ほどで終わり、投票練習があった。
税金を免除されている宗教法人の会館で、堂々と特定政党の選挙活動が行われていることに疑問を持った。そして、幹部からの指示と情報に従って行動する生き方は、私には理解できなかった。
その後の「声欄」には、7月1日の『「信仰の場」での選挙活動 投票の練習で無効票減らし』という創価学会擁護派の投書、『「信仰の場」での選挙活動 選挙近づくと集票の場所に』の反対派の投書と続きます。
同じ題材を扱っても、週刊文春では『創価学会に「声」欄で喧嘩を売った朝日の「安倍嫌い」』といったタイトルに変わり、朝日を評価しようという姿勢は微塵もありません。こういうタイトルになった背景には、現役の首相が新聞社を正式に提訴することにまで発展した、「安倍首相vs朝日新聞」の抗争の歴史が関係しています(前代未聞「首相の法廷反撃」…朝日提訴の行方)。この訴訟に関して週刊文春は、5月24日号で『週刊朝日vs安倍晋三どっちもどっち 「落ちた犬」を訴えた首相の「品格」』と報じています。
「安倍首相vs朝日新聞」にはこうした伏線があったにせよ、創価学会の政教一致問題までも、この路線に結びつけようとした今週の文春に記事は、強引過ぎるというものでしょう。そう考えると、週刊新潮の素直な記事の方が好感が持てます。
さらに、朝日嫌いの週刊文春が喜びそうな事件が起きました。情報源は、『有名書店に並ぶはずが…、自費出版大手を提訴、著者の会社員ら』(日本経済新聞社 2007年7月5日 39面)です。
「全国の有名書店に著作を並べる」と説明され出版契約を結んだのに、書店に本がほとんど並ばなかったのは契約違反だとして、会社員ら4人が4日、自費出版大手「新風舎」(東京都港区)に計約800万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
訴状によると、原告4人は社員から「人気作家の本が並ぶ棚に置く」などと誘われ、出版や広告費用の大半を著者が負担する出版契約を締結。それぞれ110万~200万円を同社に支払い、エッセーや絵本などを500~800部製作したが、実際に本が置かれたのは数店だったという。
都内で会見した原告の一人でイラスト集を出版した徳島市のアルバイト男性(31)は「夢を食い物にされた気持ち」と述べた。
新風舎は「訴状が届いていないためコメントできない。著者には常に敬意を払ってきている」としている
新風舎のビジネスについては、これまでにも種々の疑惑が噂されてきました(「新風舎」にだまされた 自費出版の巧妙手口)。そうした中、朝日新聞は2006年10月7日の土曜版beの「フロントランナー」で、同社の松崎義行社長についての好意的なインタビュー記事を掲載しています。さらに系列のBS Asahiの方でも、今年の1月には同様な内容の映像版も放送する念の入れようです。
2003年、皇太子妃雅子さまが愛子さまに読んでいる姿が報道されて評判となった絵本「うしろにいるのだあれ」。実はこの本、当初500冊の自費出版だった。
仕掛け人は気鋭の出版社、新風舎を率いる松崎義行さん。後に77万部の大ヒットにつながった理由を表現尊重主義の成果だという。自身も若くして文章表現に目覚め、現在も詩の創作を続け、詩集を刊行。表現者としての顔も持ち合わせる。
自費出版の存在意義は人類にとって絶対必要だという松崎さんの想いは新風舎直営の書店に表れている。そこには今まで手がけた約1万冊の本が並び、なんと9割が自費出版。本を残したいという表現者のために自費出版の道を作った詩人経営者、松崎義行さんの情熱に迫る。
こうした朝日の新風舎びいきとも思える報道を揶揄したのが、週刊文春の2006年11月30日号の記事『朝日新聞がモテ囃す「詩人経営者」に憤る作家のタマゴたち』です。今回新風舎が正式に提訴されたことで、文春側が朝日叩きの格好の材料を手に入れたことになります。来週の週刊文春には、これをネタにした記事が掲載される可能性は高いと思います。
しかし、新風舎をもて囃していたのは朝日新聞だけではありません。読売新聞でも『「新風舎」松崎義行さんに聞く 存在感増す「共同出版」』(2006年8月3日)、『詩人少年、社長になる』(2006年12月6日)といった記事を掲載しています。松崎社長に注目したのは、朝日よりも読売の方が時期的には早いくらいです。
それでも朝日新聞を槍玉にあげたのは、文春の朝日嫌いがなせる技なのでしょうか? 文春は読売が好きなのかというと、そういうわけでもありません。ヤマダ電機がらみの記事では、文春は読売新聞も容赦なく糾弾しています(ヤマダ電機記事巡る 読売VS週刊文春「戦争」)。
「読売vs文春」の実績を考えると、新風舎の片棒を担いだ新聞社ということで、朝日、読売を一緒にして、週刊文春が両社を責め立てる可能性も捨てきれません。もっと想像を逞しくすれば、週刊文春を出版する文藝春秋社が、新興出版社の新風舎のビジネスを快く思っているはずもないでしょう。文春の誌面は、大手新聞社に大々的に広告を打って自費出版希望者を募る、新風舎のビジネスモデルを糾弾する内容になるのかもしれません。
さらに、新興出版社にマーケットを荒らされたくないと思っているのは、老舗の新潮社も事情は同じでしょう。おそらく週刊新潮の方でも、新風舎の件について何らかの批判的な記事を掲載するのではないでしょうか? 結局、来週発売の週刊誌には、今週の創価学会の記事と同じく、新風舎批判の記事が並ぶというのが私の予想です。
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Posted by: ALITO株式会社 | 2007年07月09日 17:17