ニフティが訴える「これからは、Yahoo!がライバルです。(社長談)」の本気度
2007年07月26日
ニフティが東京都内で掲出している交通広告の中身が、先月末に一新されました。「これからは、Yahoo!がライバルです。(社長談)」というメッセージは大胆不敵です。しかし、その本音は思いの外謙虚なものでした。情報源は、「これからは、Yahoo!がライバル」ニフティが駅看板で密かにアピールです。
従来からのISP事業を基盤に、ブログをはじめとしたコミュニティサービスなど、インターネットを利活用する事業の積極展開も打ち出しているニフティだが、「Yahoo!がライバル」と宣言した意図は何なのか?
ニフティ執行役員でコーポレートコミュニケーション室長兼サービスビジネス事業本部副本部長の津田正利氏は、「日本でインターネットの世界というと、普通はヤフーが思い浮かぶ。
日本でポータルサイトがライバルサイトとして名指しする場合は、やはりヤフーになるのでしょう。昨年私が東京駅構内で見つけたgooの交通広告でも、「こんにちは。Yahooのライバルのgooです。」というキャッチコピーが使われていました(gooは交通広告でヤフーのライバルを目指すよりも、Hotwiredの復活を!)。ヤフーのポータルNo.1の地位が不動であることを考えれば、ヤフーが攻撃目標として選ばれるのも当然です。
圧倒的な技術力を誇るGoogleを引き合いに出して、「ライバルはGoogleです」とはさすがに言えないという事情もあるのでしょう。ヤフーの場合は、頑張れば追いつくことができると思われやすいのかもしれません。懐かしいところでは、ホリエモン時代のライブドアのポータルビジネスは、ヤフーの真似をすることそのものがビジネスモデル、というわかりやすい戦略をとっていました。実際のところは、日本でヤフーの牙城を崩すのは、依然として至難の業だと思いますが...。
ヤフーを目指すことにした最近のニフティは、業界最大容量の3Gフリーメールの提供や、そのメールに送信取り消し機能を搭載するなど、サービスメニューを充実してユーザ層の拡大を図る積極姿勢が際立ってきました。しかし、ニフティが変わったことを最も印象づけるのは、なんと言っても番外編の「はみだし@nifty」に登場したニフティらしくない斬新なサービスでしょう。
中でも誇り高き老舗ISPのニフティが、名前からして「ニコニコ動画」をパクッたような「ニフニフ動画」を公開した時は、その節操のなさに驚いた人も多いはずです。そのなりふり構わない姿勢こそが、ニフティが変身したことの何よりの証なのです。情報源は、「ニフニフ」「グフフ」が示す、ニフティの危機感と変化です。
「ニフティはいったい、どうしてしまったんだ」――6月11日に公開された「ニフニフ動画」を見て、そんな感想を持ったネットユーザーは少なくないだろう。「ニコニコ動画」とそっくりな機能と名称は、老舗ISP・ニフティのまじめで手堅いイメージとはかけ離れており、大きな反響を呼んだ。
ニフティの戦略転換の背景について、コーポレートコミュニケーション室長の津田正利氏は次のように語っています。
「当初は、当社の線をつないでくださっている方に付加価値サービスとして楽しんでいただければ、と考えてきた。だが気が付くと、『誰でも使っていただけます』というサービスが世の中を席巻し、ISPよりもポータルやネットサービス運営企業――Yahoo!JAPANやGoogle、はてなのような ――がネットの中心のような状況になってきて、われわれはこれでいいのだろうか、と考え始めた」
「ニフティでもBIGLOBEでもYahoo!BBでも、どんなISPを利用している方にも、ポータル『@nifty』を見に来てほしい」――「ニフニフ動画」を始めとした「はみだし@nifty」の企画は、“変わりつつあるニフティ”を端的に示したサービスだ。
「NIFTY-Serve時代、当社はフォーラムに集まったユーザーの声を集め、発信してきた。いまで言うCGM(Consumer Generated Media:ユーザー生成したメディア)と同じ。そういった“本当のニフティらしさ”に回帰するためにも、これまでのニフティの“規格”ではできなかったことをやりたい」
新サービス開発は従来から力を入れていたが「社内で開発するとどうしても“ニフティらしさ”にひきずられてしまう」ため、元・ライブドア幹部が設立した企業・ゼロスタートコミュニケーションズに開発を依頼し、自由な発想でサービス構築してもらった。第1弾として発表したのが、ニワンゴの人気サービス「ニコニコ動画」に名前もサービス内容もそっくりな「ニフニフ動画」だ。
ニコニコ動画は、動画に重ねてユーザーがコメントを入れ、同期して表示するサービス。これに対しニフニフ動画は、動画の直下のスペースに配置したティッカーにコメントを表示する。仕組みは若干異なるが、動画にコメントを重ねられるというコンセプトは同じ。「やっぱり元祖は、ニコニコ動画ですよね」と津田さんは素直に認める。
「本当にそんなサービスをやるのか」――経営陣も含め、迷いはあったという。動画にコメントをつけるというだけの単純なサービスで、内容からネーミングまで他社サービスにそっくり。「いままでのニフティならもっとサイトを作りこみ、機能を盛り込んでから発表しただろう。『人のまねをするのか』というプライドもある」
ニフニフのヒットは、社内にも強烈なインパクトをもたらしたという。「これまでのニフティではできなかったことが、ゼロスタートの力を借りることで可能になり、うれしいと同時に悔しくもある。なぜああいう企画でここまで興味を持ってもらい、話題を呼べるのか――社内の考え方も変えなくてはならないと、改めて考え直すきっかけになった」
「ニフニフ動画」の成功をもたらしたのは、自社開発にこだわらずに敢えてゼロスタートに外注した点でしょう。目まぐるしく技術が変化するネット業界では、すべてを社内開発で賄おうという発想からの脱却が重要です。不得手な分野は思い切ってアウトソーシングに踏み切り、自社の得意分野に社内資源を集中する戦略が、今後は主流になってくるのではないでしょうか。いわゆる「選択と集中」の戦略です。
例えばライブドアでも、「選択と集中」を実践する動きが見られます。同社は現在自社開発のlivedoor Readerの英語版「Fastladder」で世界制覇を目指しています(livedoor Readerの英語版「Fastladder」、半年で10万ユーザー獲得を目指す)。一方、これまでポータルサイトの命とも考えられてきたフリーメールの方は、他社の技術を採用する方針に転換しました。情報源は、大手ポータル初、ライブドアが無料メールにGmailを全面採用--数千万円のコスト削減にです。
Gmailを大手ポータルサイトが全面採用するのは今回が初めて。ライブドアは今後、Gmailのサービスを自社ブランドで展開することとなり、事業コストという側面においては「月間数千万円のコスト削減になる」(ライブドア広報)。新生ライブドアをうたい、ネットサービス事業の黒字化を目指す同社の狙いに貢献しそう。
ライブドアはコスト削減の狙いの一方、「Gmailの登場で無料メールサービスの新規会員獲得数に影響が出ている」(同)とGmailに対する利用者からの支持が高いことを重要視した。また、グーグルは日本大学など社外にGmailのシステムを提供するなどの展開も積極化しているため、今後、コスト面と需要双方の観点からGmailの採用を検討する無料メール事業者も出てきそうだ。
なお、自社ブランドへの執着を捨てる必要があるのはネット業界の企業に限った話ではありません。米国ソニーが仇敵iPodの周辺機器の販売に本格参入することを発表しました。情報源は、「iPodは1つのフォーマット」――ソニー、iPod周辺機器に本格参入です。
ソニーが8月に米国で発売するCDプレーヤー搭載スピーカーシステムとラジオクロックは、充電可能なiPodドックを搭載。ワイヤレスリモコンは、iPodの操作にも利用できる。
「消費者はiPodをCDと同様に、1つのフォーマットとして扱っている。だからソニーはこれをサポートするためのオーディオ製品を提供する」と米国ソニーのデジタルイメージング/オーディオ事業部でパーソナルオーディオ製品担当ディレクターを務めるアンドリュー・シボリ氏は述べている。
米国ソニーが携帯音楽プレーヤーを発明したプライドにこだわってiPodを無視し続けるを止めて、周辺機器の巨大マーケットに参入する道を選んだのは、賢明な選択と言ってよいでしょう。しかし、日本のソニーは元祖のプライドが邪魔をして、市場投入を躊躇っているのでしょうか? iPodの周辺機器であっても、ソニー独自のアイデアが盛り込まれた製品でありさえすれば、「“Like no other”(唯一無二)」のブランド戦略との矛盾はないはずです。
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