深刻なポスドク問題を横目に、ITエンジニアの8割はキャリアエクスプローラー
2007年07月31日
博士号取得者の就職難問題(いわゆるポスドク問題)解消に向けて、応用物理学会が新しい試みを開始しました(就職難博士に「求職中」マーク 応用物理学会が考案)。応用物理学会(JSAP)のサイト「学術講演会におけるキャリアエクスプローラーマークの新設」では、同制度導入の背景について次のように説明しています。
実はこのマークの使用には厳しい制限が設けられています。本当は上記のように気軽に貼ることは厳禁です!
<マークの使用方法>
(1)登壇者(発表者)である求職中のポスドク、博士・修士課程学生が、本人が希望する場合に限って、キャリアエクスプローラーマーク(CEマーク)を発表の際に表示することができます。
(2)口頭発表ではスライド1枚目のタイトルページにおいてCEマークを表示できます。ポスター発表においては、タイトル付近にCEマークを表示することができます。
<マーク使用上、運用上の注意>
◆当該学術講演会における登壇者(発表者)以外は使用することはできません。
◆CEマークの著作権は(社)応用物理学会に帰属するものであり、マーク導入の趣旨、および使用方法を逸脱する使用は一切認めません。
私がCEマークの貼ったのは、同マークの普及の一助となればとの深い考えがあってのことです。学会関係者の方には、おとがめなきようお願いしますm( __ __ )m
CEマークは応用物理学会関係での発表時以外は使用禁止なので、会員がブログ等に常時貼り付けておくことも許されません。優秀なポスドクを採用したいと考えている雇用者側にとっても、当日会場まで足を運ばないと誰が求職中なのかはわからない仕組みになっています。応用物理学会を職業紹介の場という視点で考えると、一期一会の「タレント・スカウト・キャラバン」みたいなものです。
「キャリアエクスプローラー(Career Explorer)」という言葉が選ばれたのは、「求職者(Job Seeker)」とすると、あまりに露骨過ぎて発表者も使用を躊躇うのではないか、という配慮があったのでしょう。しかし、キャリアを探求(explore)することは、本来直接的な求職活動だけを指すわけではありません。象牙の塔には縁のない第一線のITエンジニアは、現職の身でありながらも常にキャリアを explore してます。情報源は、『IT技術者、転職、8割前向き』(日経産業新聞 2007年7月31日 23面)です。
就職・転職情報サービスの日経HRがまとめた2007年版IT(情報技術)エンジニア調査では、IT技術者の8割が転職に前向きなことが分かった。ただ前年に比べると転職を望まない人が増えており、同社は「景気回復で働き続ける展望を持つ人が増えた」と分析している。
日経HRが今年3月末から4月初旬にインターネットで調査し、IT技術者1,173人から回答を得た。
転職の意向を尋ねる質問に対し、回答者の57.4%が「条件次第では将来転職する可能性がある」と答えた。「現在転職活動をしている」(5.6%)や「近い将来転職を考えたい」(12.3%)、「時期にこだわらず転職を考えたい」(8.1%)などを加えると、83.4%%が転職に前向きだ。
転職をする理由やきっかけについて尋ねたところ、最も多い理由は「今よりよい条件の環境で働きたい」(58.1%)だった。実際、IT技術者はよりよい条件を求め転職を繰り返しており、2回以上の転職経験を持つ人が26.6%と4人に1人に上る。1回でも転職経験のある人を数えると49.6%とほぼ半数だ。
ただ転職意向で「将来にわたり転職しようとは思わない」人が16.6%と前年(11.3%)に比べ増えた。転職についての考え方を尋ねる別の質問でも「絶対したくないこと」(前年比1.2ポイント増の1.7%)や「できればしたくないが必要に迫られて」(同7ポイント増の26.3%)との回答が存在感を増しており、一方で定着志向も垣間見えた
この調査を読む限りでは、ITエンジニアのほとんどが「キャリアエクスプローラー」の範疇に入りそうです。ちなみにIT技術関連の学術団体「情報処理学会」(IPSJ)のサイトでは、堂々と人材募集広告が掲載されています。有料広告として、学会会員以外の一般企業へも広く開放されています。
同じ学会といっても、厳格なルールを設定して発表者の求職活動の支援を始めた応用物理学会とは、状況は大きく異なります。market(現場)に近い学会ほど、会員の employability(雇用可能性)が高く、その結果として liquidity(雇用流動性)も高いということなのでしょう。
さらにおまけです。情報源は、「キャリアアップをしたい」は“建前”社員が辞める本当の理由です。
大手転職サイト「リクナビNEXT」編集部による「退職理由の『ホンネ』と『タテマエ』アンケート」(2005年4月実施)によると、「タテマエ」のダントツトップは「キャリアアップしたい」で、半数近くに達している。次いで「仕事が面白くない、変化がない」「会社の経営方針・経営状況の変化」と続く。
一方、本当の退職理由、「ホンネ」とは何なのだろうか?一位は「上司との人間関係」。二位、三位は「給与に不満足」、「仕事が面白くない、変化がない」となり、この3項目で3割強を占めている。
真剣にキャリアを explore している応用物理学会のポスドクの人にとっては、このホンネの退職理由は贅沢な悩みに映ることでしょうね。
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