「産経が毎日に勝ったワケ」を載せた日経ビジネスの続報「毎日、ヤフー陣営と関係強化」
2007年09月10日
マイクロソフトが毎日新聞社と共同で運営している「MSN毎日インタラクティブ」の提供を9月30日に終了する予定を発表したことをネタに、6月末にマイクロソフトとの提携解消は毎日新聞のネットプレゼンスの終わりの始まりというタイトルの記事を投稿しました。マイクロソフトの提携相手の変更により、ウェブにおける「産経勝ち組、毎日負け組」の構図がより鮮明になるだろう、というのが私が書いた内容でした。
7月になると、「産経が毎日に勝ったワケ マイクロソフトの変心、10月から日本にも大波」(2007年7月16日号 48~49ページ)という、ほぼ同じ内容の記事が日経ビジネスに掲載されました。雑誌の日経ビジネスで掲載された記事は、通常日経系のウェブサイトでも公開されます。
ウェブ上の記事NBonline(日経ビジネスオンライン)「産経が毎日に勝ったワケ」は、刺激的なタイトルのためか、多くの記事で参照されています。
しかし、日経ビジネスオンラインの元記事は、なぜか現在ウェブ上から『削除』されてしまっています。
負け組と名指しされた毎日新聞社からクレームを受けたのか? と勘ぐりたくなる不自然さです。
日経BP社が本当に毎日新聞社からクレームを受けたのかどうかは、知る由もありません。ところが、今週号の日経ビジネスには、今度は毎日側の逆襲を臭わすタイトルの記事が載りました。『毎日、ヤフー陣営と関係強化 ニュースポータル戦国時代に備える』(2007年9月10日号 14ページ)。
9月末をもってマイクロソフトとの提携を解消する毎日新聞社が、10月からヤフーとの関係を強化することが分かった。ヤフーが36%の株式を持つオールアバウトとも積極的にコンテンツの共有を進める。
「普通に考えれば(提携解消でMSN経由のアクセス数が)6割も消えてしまう。だが、算段はある」――。
毎日新聞でデジタル事業を取り仕切る長谷川篤常務執行役員は、本誌の取材にこう答えた。算段の内容は「10月から徐々に出てくる」と明かさなかったが、その計画の片鱗が見えてきた。
以下が毎日新聞とヤフーの新しい取り組みです。
毎日新聞は以前からヤフーに記事を提供しているが、10月からは量を増やすと同時に、新たに自社サイトへユーザーを誘導するリンクを記事の下部に加える。これにより、数千万件のアクセス数増を見込む。さらにヤフーの広告ネットワークの一員となり、自社サイトの広告の掲載枠を一部、ヤフーに提供することで、収益向上も狙う。
Yahoo!ニュースは今夏から、自社のサイト内でユーザーを囲い込んで回遊させる方針を転換。他社のサイトへ積極的に誘導する代わりに広告事業で手を組む「オープン化戦略」を進めており、両者の思惑が一致した。
同様に、10月からヤフーの関係会社、オールアバウトとも広告商品の営業を共同で展開していくほか、来年初めをメドにコンテンツの相互利用も始める。同社は住宅や自動車、グルメなど主に生活情報を中心に、その道の専門家が最新情報の解説記事や、有用なサイトの紹介をする総合情報サイトを運営しており、月間の利用者数は1,600万人と大手メディアに匹敵する。
10月1日から「毎日ジェーピー」として始めるサイトは「ニュース」「エンターテインメント」「ライフスタイル」の3つの分野を柱とし、主に後者2つの分野でオールアバウトの記事を活用する考え。逆にオールアバウトも毎日新聞の記事を活用し、これまで弱かったニュース分野を補強する。
ここまで読むと、マイクロソフトに袖にされた毎日新聞は新たなパートナーを見つけることに成功し、「ヤフー・毎日陣営」VS「マイクロソフト・産経陣営」の激突が起きるかのような雰囲気です。しかし、実態は全然違います。
ただ、ヤフーは「特定のメディアを特別扱いすることはない」(メディア事業部の川邊健太郎プロデューサー)とし、朝日新聞や日本経済新聞など記事提供を固辞しているメディアにも引き続き働きかけていく考え。8月末から9月にかけて、市民記者が記事を書くニュースサイト「オーマイニュース」や「JANJAN」などの記事掲載も始めた。
特定メディアに偏らない全方位外交を基本戦略とするヤフーすれば、今回の提携で特に毎日新聞だけに肩入れしようと考えたわけではありません。むしろ、来る者を拒まずと言う形で毎日新聞を受け入れたというのが、真相でしょう。ヤフーが本当に欲しいのは、格上のアサヒコムや経済ニュースに強い日経ネットであることは明らかです。
前回の記事「産経が毎日に勝ったワケ」で、毎日新聞をこき下ろしすぎたので、今回のタイトル「毎日、ヤフー陣営と関係強化」で、それを中和させる意図が日経BP社にあったのではないでしょうか?。しかし本文をよく読むと、必ずしも毎日新聞だけを持ち上げることには成功していません。客観的に判断すれば、ウェブでの毎日の劣勢は明らかなので、土台無理な注文です。
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