« 「産経が毎日に勝ったワケ」を載せた日経ビジネスの続報「毎日、ヤフー陣営と関係強化」 | メイン | 祝・日本発条命名権取得 「ファイト一発! ニッパツ 三ツ沢球技場」 »

Top経営戦略 > リクルート、日本IBMに続く人材輩出企業になれるか? 富士通、伊勢丹

リクルート、日本IBMに続く人材輩出企業になれるか? 富士通、伊勢丹

2007年09月11日

他社への優秀な人材の供給源として高い評価を受けてきた企業と言えば、幅広い業界で起業家を輩出してきたリクルートと、IT業界に数多くの社長を送り出してきた日本IBMが、その双璧でしょう(マネジャータイプを輩出する「IBM学校」とリーダータイプの「リクルート学校」。今回は、人材輩出会社としてこの2社に加わりそうな候補企業を2つ紹介します。1社目は、日本IBMに取って代わるのではないかと噂されている富士通です。情報源は、富士通経営執行役の相次ぐ退社の波紋 落ち目のIBMに代わり流出の宝庫に?です。

富士通でこの夏、相次いで現役の経営執行役が、しかもグローバルビジネスができる人材が2人退社した。一人は米EMCの副社長兼EMCジャパン社長に転じた諸星俊男氏。もう一人は韓国サムソンの経営企画室から富士通コリアに入り、4年前に富士通初の外国籍を持つ経営執行役に就いた安京洙氏だ。諸星氏は 10年ぶりに米国から帰国してグローバル戦略本部担当、安氏は経営執行役常務としてAPAC総代表を務めた。

2人の退社から、「富士通で出世するのは、やはりドメスティックで泥臭く仕事をこなすSEやサポート経験者か」とか、「グローバル展開が課題である秋草(直之会長)・黒川(博昭社長)体制の求心力に陰りが出始めた」と取りざたする向きも出た。ある富士通OBは、「秋草・黒川氏の2代にわたる、安部政権にも似た“お友達登用”に、実力派の幹部社員らに内在していた不満が顕在化した証かもしれない。“見限り”は今後も続く」と見る。

しかし秋草会長は人事に関してあくまでも強気の姿勢を崩さない。「長い目で見たら富士通にプラス。日本IBMに代わって今度は、富士通が人材を世に送りネットワークを築く」と、幹部の退社を少なくとも表向きは歓迎しているようなのだ。

確かにこれまで、IT業界における人材拠出の宝庫は日本IBMであった。しかし日本IBMの優秀な人材が、米IBMのGIE(グローバルに統合された企業)戦略の中に埋没し始めたと言われる中で、富士通がそれに取って代わることができるなら、秋草会長が指摘する通り富士通のパートナー戦略上プラスだ。

米 IBMで10年の経験を持つ日本IBMの技術OBは、「富士通にグローバル感覚を持つ人材が育っているかもしれない。日本に進出したIT外資系には、あくまでも一部だが、グローバル感のある富士通幹部はターゲットになる」と、秋草会長の期待を肯定する。

これまで幹部社員の退社は、ネガティブな側面のみが注目されるのが、日本社会の一般的な風潮でした。他社への人材流出を、長期的には自社とのネットワークの強化につながると、富士通のようにポジティブに捉えようとする日本企業が出てきたことは、ある意味時代の流れなのでしょう。

2つ目の人材輩出企業は、三越との経営統合を発表した伊勢丹です。来年4月に誕生する三越伊勢丹ホールディングスでは、マーケティング戦略の基盤となる情報システムや売り場運営の手順、商品の仕入れ、陳列方法などは、伊勢丹流の手法が採用される見込みです。歴史の長いお公家様三越が、野武士集団伊勢丹の流儀に屈したことになります。

百貨店業界での伊勢丹の強さの秘密は、そのマーチャンダイジング(MD)力の強さにあります。こうした伊勢丹流のMD力を採り入れようと、百貨店各社も相次いで伊勢丹出身者のスカウトに乗り出しています。情報源は、『伊勢丹の実力――人材輩出企業の幻想、個より組織に強み』(日経流通新聞MJ 2007年9月7日 5面)です。

代表格はミレニアムリテイリングの佐野和義社長。伊勢丹では専務まで務め、松屋の副社長を経た後、ミレニアム入りした。小田急百貨店の筧元則副社長はジェイアール西日本伊勢丹(京都市)の元社長。京急百貨店(横浜市)の神田捷夫相談役(前社長)と市川昭司社長も伊勢丹出身だ。そのほか、札幌市の丸井今井や名古屋市の名鉄百貨店、東急百貨店などの提携先にも役員や幹部社員を送り込んでいる。

元伊勢丹のカリスマバイヤーとして名を馳せ、老舗靴下メーカー福助の社長に転じて、同社の再建に手腕を発揮した藤巻幸夫氏は、その後イトーヨーカ堂の取締役として迎えられました。ヨーカ堂のマーチャンダイジング力を強化すべく衣料事業部長に就任した藤巻氏は、新ブランド「pbi」を立ち上げ、SPAモデルの導入を図りました。

しかし、新ブランドは当初期待された成果を上げることができずに、藤巻氏は衣料事業部長の職を退任することになりました(「坊主頭+髭」スタイルのカリスマバイヤー藤巻幸夫氏が第一線を退く)。藤巻氏に限らず、伊勢丹出身者が陣頭指揮を執るようになった他の会社でも、短期間でマーチャンダイジング力が強化された事例がほんどない、というのが現実です。

丸井今井は伊勢丹の支援開始から約2年がたつが、札幌駅前の大丸に買い物客を奪われ、明確な成果はまだ乏しい。社内からも「伊勢丹から数人が来ただけではむずかしい」といった声が漏れる。ミレニアムは「佐野社長のほか中枢部門に伊勢丹出身者がついて、考え方を根底から変えようとしている」(同社幹部)。「伊勢丹流」の導入は容易ではない。

それは伊勢丹が「世間が思っているよりも泥くさく、馬力のある会社」(百貨店関係者)であることと無縁ではない。「商談のために一週間で東京とニューヨークを二往復した」「出社が早すぎる社員がいたため、役所に目をつけられたが、調べたら役員だった」――。伊勢丹社内は「体育会系」的なエピソードにあふれている。

伊勢丹の経営陣もことあるごとに「うちにはスーパースターはいない」(武藤信一社長)と強調する。伊勢丹のMD力を支えているのは、目標に向かって社員が一丸となって動く組織力だ。

何よりも組織力を重視してきた伊勢丹が支援したスポーツは、"All for One, One for All"(すべては一人のために、一人はすべてのために)を基本とするラグビーでした。かつては日本代表選手の吉田義人も所属していた伊勢丹ラグビー部は、1999年に廃部になりました。伊勢丹の強さの秘密が特定の個人の能力ではなく、組織としてのチーム力にあるとすれば、伊勢丹出身者が一人落下傘型に新しい組織に加わったとしても、V字型回復が短期的に実現できないのも当然でしょう。

また、昔から人材の宝庫と呼ばれきたリクルートでも、人材不足が事業拡大の足かせとなっているのが現状です。情報源は、『リクルート飛翔の条件(1)求人広告、精鋭で営業強化――海外事業拡大課題に』(日経産業新聞 2007年9月11日 2面)です。

国内営業の強化以上に大きな課題が海外事業だ。現在、人材サービスを本格展開するのは中国のみ。出遅れの理由には、借金返済を優先してきた事情や人材不足、80年代に進出して失敗した米国事業のトラウマなどがある。ただ世界各地で現地の人材を雇用する日本企業が増えるなかで「国内と中国でしかお手伝いできません」では「人材総合サービス」が看板倒れになりかねない。

ある幹部は「10年以降の成長余地を考えるなら、海外への取り組みをいま始めなければ」と危機感をあらわにする。だが首脳陣は「海外は消去法的選択の域を出ていない」(中村恒一取締役専務執行役員)と慎重姿勢を崩さない。海外に送り出せる人材が育っていないという台所事情が次の一手を鈍らせる。

来年度にスタートする新三カ年計画の中で、長期的視点に立った海外戦略をどう描くのか。日本市場という小さな鳥カゴの中にとどまるか否かの決断を迫られている

リクルートが支援してきたスポーツは陸上競技です。個人競技を支援したリクルートが起業家を生み、団体競技を支援した伊勢丹がチームプレーヤーを生み出したのは、両社の社風の違いを考えると、決して偶然とは思えません。なお、有森裕子ら世界的なマラソンランナーを輩出したリクルート陸上部も、2002年3月には廃部になっています。


★恐縮ですが、『人気ブログランキング』を クリック してください。


伊勢丹はなぜトップブランドになれたのか―現場主義で培われた伊勢丹イズムの神髄に迫る
伊勢丹はなぜトップブランドになれたのか―現場主義で培われた伊勢丹イズムの神髄に迫る溝上 幸伸

ぱる出版 2006-09
売り上げランキング : 105219


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

伊勢丹だけがなぜ売れるのか 誰からも支持される店づくり・人づくり
伊勢丹だけがなぜ売れるのか 誰からも支持される店づくり・人づくり武永 昭光

かんき出版 2006-10-03
売り上げランキング : 68658

おすすめ平均 star
star小売の現場から知る販売の基礎
starそれでも百貨店は大変だ
star星2つ

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

「伊勢丹のようなサービス」ができる本―なぜ「普通のデパート」がトップブランドになったのか (成美文庫)
「伊勢丹のようなサービス」ができる本―なぜ「普通のデパート」がトップブランドになったのか (成美文庫)国友 隆一

成美堂出版 2006-02
売り上げランキング : 38139

おすすめ平均 star
star「売り場」ではなく「お買い場」なんだ…。
star伊勢丹に行ったことがない人にも伊勢丹のことがよくわかる本

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

伊勢丹な人々
伊勢丹な人々川島 蓉子

日本経済新聞社 2005-05-14
売り上げランキング : 19031

おすすめ平均 star
star時と場合で
starビジネス書というよりはエッセイ
starファッションに興味ある人に

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

リクルートのDNA―起業家精神とは何か
リクルートのDNA―起業家精神とは何か江副 浩正

角川書店 2007-03
売り上げランキング : 512

おすすめ平均 star
star全社員に社長の思いを伝えるには、どのような仕組みを作ったらよいか
star聞いた、思った、実行した。
starリクルートはすごい

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

かもめが翔んだ日
かもめが翔んだ日江副 浩正

朝日新聞社 2003-10-30
売り上げランキング : 38738

おすすめ平均 star
star屋上のプレハブ小屋から始まった感動秘話満載
star江副とは、良くも悪くも伝説的な起業家なのかもしれない
star「自ら機会を創りだし、機会によって自らを変えよ」

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

リクルートという奇跡 (文春文庫)
リクルートという奇跡 (文春文庫)藤原 和博

文藝春秋 2005-09-02
売り上げランキング : 51481

おすすめ平均 star
starリクルートはなぜ「リクルート事件」でつぶれなかったのか
starものすごく納得!
star仕事とは何か

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

暗い奴は暗く生きろ―リクルートの風土で語られた言葉
暗い奴は暗く生きろ―リクルートの風土で語られた言葉生嶋 誠士郎

新風舎 2007-01
売り上げランキング : 61621

おすすめ平均 star
starリクルート関係者以外でも
star懐かしいなあ
star自分をみつめること

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

感じるマネジメント
感じるマネジメントリクルートHCソリューショングループ

英治出版 2007-04-20
売り上げランキング : 5289

おすすめ平均 star
starビジョンをつくり浸透していくプロセスとして理想
star自画自賛
star経営理念をつくる際の必読文献!

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

正義の罠 リクルート事件と自民党 二十年目の真実
正義の罠 リクルート事件と自民党 二十年目の真実田原 総一朗

小学館 2007-05-31
売り上げランキング : 31662

おすすめ平均 star
star地道な「取材報告書」

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


  • このエントリーをdel.icio.usに追加
  • このエントリをニフティクリップに追加
  • このエントリをLivedoor クリップに追加
  • このエントリをFC2ブックマークに追加
  • このエントリーをバザールに追加
  • このエントリをSaafブックマークに追加
  • このエントリをChoixへ追加
  • newsing it!
  • このエントリーをCoRichへ追加
  • このエントリーをはてなブックマークする
  • このエントリーを含むはてなブックマーク
  • このblogをはてなアンテナに追加
  • このエントリーのはてなブックマーク数

このエントリーに含まれるタグ

関連するエントリー

ワード

このエントリーのダイレクトリンクURL:

現在コメント・トラックバックは受け付けていません


アクセス解析 アクセス解析 レンタルCGI