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産経VS朝日の紙面バトルがネットで再現されれば、新聞3紙共同ポータルも人気沸騰?

2007年10月03日

このサイトでも何度もお伝えしてきた通り、読売、朝日、日経の共同ポータル「ANY」が来年スタートすることになりました。共同ポータルの楽しみの1つは、元々論調の異なる各紙が書いた記事や社説を、ネット上で簡単に読み比べられることでしょう。現状では複数の新聞を購読でもしていないと、こんなチャンスはめったにありません。

現在も産経新聞と朝日新聞の間で、紙面上のバトルが勃発しています。両紙のメンツを賭けた全面戦争に発展しそうな勢いのある筆戦は、結構楽しめます。騒動の発端となったのは、朝日新聞が安部内閣総辞職の日の朝刊に掲載した社説でした。


■ 【社説】『安倍内閣に幕 右派政権の成果と挫折』朝日新聞 2007年9月25日 朝刊 3面

安倍内閣がきょう総辞職する。突然の辞任表明だったが、くしくも政権発足からちょうど1年の日に、幕となる。

順風満帆の船出だった。1年前の自民党総裁選で大勝し、出だしの内閣支持率は60%を超えた。憲法改正や教育再生などの野心的な課題を掲げ、長期政権への意欲をみなぎらせていた。

健康問題もあって最後は政権を投げ出す形になった安倍氏だが、こんな短命で終わるとは本人も予想外のことに違いない。断腸の思いだろう。

終わり方はひどいものだった。だが、だからこの政権はまったくだめだったと決めつけるのはフェアでなかろう。この1年、私たちは安倍政権に批判的な主張をすることが多かったが、評価すべき点がなかったとは思わない。(以下略)

最後の「評価すべき点がなかったとは思わない」の部分に噛みついたのが、翌日の産経新聞です。産経は堂々一面で攻撃の火蓋を切ります。


■【産経抄】2007年9月26日 産経新聞 朝刊 1面

けさはもう、前首相の肩書になってしまったが、2日前に病院で記者会見した安倍晋三氏のやつれぶりに驚かれた読者も多かったのではないか。連日、内政・外交ともに難しい決断を強いられ、メディアや野党から批判を浴び続ける首相という職業を長くこなすには、よほどの「鈍感力」が必要なのかもしれない。

あれほど安倍たたきに熱心だった朝日新聞もさすがに良心がとがめたのか「評価すべき点がなかったとは思わない」と言い出した。御為(おため)ごかしそのものだが、中曽根康弘元首相が「政治家は歴史法廷の被告である」と喝破するように政権の客観的な評価は、後世の史家に委ねるしかない。(以下略)

名指しで批判された朝日の方は、翌日の夕刊で反撃です。両紙のメンツを賭けた全面戦争の様相を呈してた文面を紹介するには、一部引用では追っつきません。ここからは全文掲載します。


■【窓・論説委員室から】『「産経抄」の良心』朝日新聞 夕刊 2007年9月28日 2面

安倍前首相にあれほど強い期待を寄せてきた産経新聞である。突然の退陣を惜(お)しむ気持ちは分からないではない。

安倍内閣総辞職の日、私たちはこの1年の安倍政治を振(ふ)り返る社説を掲げた。そのなかの「評価すべき点がなかったとは思わない」というくだりが、お気に召(め)さなかったらしい。翌日の1面コラム「産経抄(しょう)」にこう批判された。「あれほど安倍たたきに熱心だった朝日新聞もさすがに良心がとがめたのか」「御為(おため)ごかしそのものだ」

ちょっと待ってほしい。私たちが安倍政権を批判することが多かったのはその通りだ。一方で、安倍氏が訪中、訪韓を決断した時は社説で「首相交代をきっかけに新しいスタートが切られることを歓迎(かんげい)する」とエールを送った。村山首相談話や河野官房長官談話の継承(けいしょう)を表明した時にも「大いに歓迎」と評価した。

安倍氏をたたきすぎたと反省して、今になって唐突(とうとつ)に評価を始めた――。そう言いたいとしたらお門違(かどちが)いというものだ。

朝日新聞をたたくのは自由だし、皮肉なコラムも結構だが、事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく。

安倍氏にとって痛かったのは私たちの批判だけだったのか。むしろ、右派論壇(ろんだん)とタッグを組んで靖国神社参拝や村山、河野談話の見直しを求め続けたあなた方の身びいきこそ、重荷だったのではないか。

ひいきの引き倒(たお)し、という言葉もある。「産経抄」子さん、あなたの良心は痛みませんか。〈恵村順一郎〉

「事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく」と忠告を受けた産経の矛先は、沖縄での住民の集団自決をめぐる教科書検定への抗議集会について、朝日が報道した数字の信憑性に向かいました。ここから一転して、両紙の論説委員同士の往復書簡のような形式を取り始めました。公の紙面を使ってのタイマンです。


■ 【産経抄】2007年10月3日 産経新聞 朝刊 1面

拝復 朝日新聞論説委員室さま。9月28日付夕刊の「『産経抄』の良心」と題されたコラムを拝読しました。安倍退陣について「靖国神社参拝や村山、河野談話の見直しを求め続けたあなた方の身びいきこそ、(安倍氏に)重荷だったのではないか」とご指摘いただきましたが、物は言いようだとつくづく感心致しました

「事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく」ともご忠告をいただきましたが、その言葉はお返ししなくてはなりません。そう、先月29日に開かれた沖縄戦での住民の集団自決をめぐる教科書検定への抗議集会の報道ぶりです。

貴紙は1面で「沖縄11万人抗議」と大見出しをとり、きのうも「県民大会に11万人が参加した」と書いておられます。でも、11万人は主催者発表の数字です。記者は何の疑問も持たなかったのでしょうか。

抄子は宜野湾市内にある会場を何度か訪ねていますが、会場の面積は約2万5000平方メートル、つまり160メートル四方に過ぎません。当日の航空写真を見ると空きスペースもあり、どう数えれば11万人にもなるのでしょう。

もったいぶってすみません。関係者によると、参加者は最大で4万3000人だそうです。沖縄の警察は、主催者の反発を恐れてか真実を発表できないのです。江藤淳先生が生前、指摘された「閉された言語空間」がなお存在するようです。

主催者発表通りに集会の規模を2・5倍も誇大に報道する姿勢は、戦時中に大本営発表を垂れ流し続けた貴紙の過去とだぶってしまいます。そうそう、貴紙は論調の異なる読売、日経とネット事業や販売部門で提携されるそうですね。思い切った決断に拍手を送りますが、新聞でもネットでも事実の確認だけはくれぐれもお忘れなく。 敬具

手紙を受け取ったら返すのが礼儀だとすれば、この往復書簡は簡単に終わるようにも思えません。両紙とも自らの非を認めることはあり得ないでしょうから、どちらかが根負けするまで続くことになるのでしょうか?

今回の朝日VS産経のバトルは、実際両紙を購読していなければ楽しむことはできません。もし同様のバトルが共同ポータルを運営することになる朝日、読売、日経の三紙の間で起こったとしたら、臨場感溢れるネット上のバトルをそのまま観覧することができます。どうせ論調の合わない三社が共同ポータルを運営するのですから、この種のバトルを予想してあらかじめルールを決めておけば、読者の期待も膨らむことでしょう。

例えば、双方の主張の正しさは読者の投票で判定する、「論説2.0」とかはどうでしょうか? あるいは三紙が参加していることを考えれば、喧嘩の当事者以外のもう1社が判定する(朝日と読売の喧嘩の場合は第三者となる日経が判定)、といった方法も可能です。新聞社同士で論争が自然発生するのを待つのではなく、もっとエスカレートさせて常設コーナーとして他紙批判コラムでも作ったりすれば、議論沸騰すること間違いなしでしょう。


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