どこまで本気? テンポスバスターズ「社長のイス争奪バトル」

2007年10月17日

厨房機器販売のベンチャー企業テンポスバスターズは、10月から半年間をかけて、次期社長の座を競う社内コンテスト「社長のイス争奪バトル」を実施します。「FA制」や「ドラフト制」などを採用し、ユニークな人材登用方針で有名な同社にとっても、最大の人事イベントとなります。情報源は、『社長立候補者が所信表明、テンポス、29-59歳の10人』(日経産業新聞 2007年10月16日 29面)です。

ジャスダック上場のテンポスバスターズはこのほど次期社長の座を競う社長コンテスト「社長のイス争奪バトル」の出陣式を開き、立候補者10人が今後半年間の取り組みなどについて所信表明した。創業者の森下篤史社長は出馬せず、取締役の立場で来春からグループ事業の拡大に当たる。

2003年秋の第1回に続き今回が2回目。立候補者は店舗統括担当の29歳のスーパーバイザー(SV)から59歳の取締役まで年代も多彩。大型トラックを運転し商品を集める平林敬子SVなど、女性二人も立候補した。候補者の阿部将志SVは「厨房機器販売事業の営業利益率を5年後に10%にし、従業員の給料を倍増させる」と意気込みを語った。

最大の評価項目は「断固やる」という強い意志があるかで、200点満点のうち128点を占める。立候補者中最年長の柏野建人取締役は「全店員が顧客と5回以上のキャッチボールトークができるようにする」などの必達目標を掲げ、「半年掛けて全店員と直接話し、考え方を浸透させる」と強調した。

このほか「人が好き」「ひねくれない、いばらない」などの評価点数も加味し、来年3月まで社長の資質を競う。

森下社長は出陣式で「既存の厨房機器販売事業はノウハウも体制も整ったので私でなくても運営できる」と、退陣を正式表明した。次期社長が決まった後は取締役に退き、連結対象外企業も含めたグループ売上高を現在の7倍の700億円規模に育てる方針。飲食店テナントあっせんの不動産会社を月内に買収する計画も明らかにした。

記事では4年ぶり2回目の「社長のイス争奪バトル」となっていますが、同社では本来2年毎に開催する予定でした。2003年に開いた第1回コンテストでは森下社長のほか7人の幹部が参戦し、森下社長が勝利しました。2年後の2005年には幹部の参戦を募ったのですが、「優勝しても社長職を引き受けられる自信がない」との声が多くて、結局中止することになりました(テンポスバスターズが鳴り物入りで始めた社長コンテストを早くも中止)。現社長の森下氏が参戦しない今回のコンテストが、後継社長を選ぶ実質的には初めての試みと言っていいのではないでしょうか。

社長の評価項目の詳細が知りたくて、同社サイトの「人事制度」のところを覗いて見ました。残念ながら、社長コンテストに関する公開情報はありません。その代わりに見つけたのがこれです。

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グーグルが提供する豪華な福利厚生は羨ましい限りではあるが...

2007年03月22日

誰もが憧れる働きやすい会社No.1グーグルでさえ辞める人間は後を絶たないに関連した話題です。Knowledge@Whartonに、グーグルが従業員向けに提供しているPerk(給与以外の福利厚生)のことが、詳しく取り上げられました。グーグルのシニア・プロダクト・マネージャのKallayil氏は、同社の福利厚生メニューついて、電話インタビューで次のように語っています。 情報源は、"Perk Place: The Benefits Offered by Google and Others May Be Grand, but They're All Business"です。

"Let me pull this up because there are so many," he says. When his computer produces a list a moment later, Kallayil makes his way down the screen and continues: "The free gourmet food, because that's a daily necessity. Breakfast, lunch and dinner I eat at Google. The next one is the fitness center, the 24-hour gym with weights. And there are yoga classes."

There is a pause before he adds that he also enjoys the speaker series, the in-house doctor, the nutritionist, the dry cleaners and the massage service. He has not used the personal trainer, the swimming pool and the spa -- at least not yet, anyway. Nor has he commuted to and from the office on the high-tech, wi-fi equipped, bio-diesel shuttle bus that Google provides for employees, but that is only because he lives nearby and can drive without worrying about a long commute.

数ある豪華な役得をまとめると、こんなものがあるようです。

  • 朝昼晩の食事
  • 24時間利用可能なジム
  • 個人トレーナー
  • プール、スパ
  • ヨガ教室
  • 医者、栄養士
  • クリーニング
  • マッサージ
  • シャトルバス .....

Kallayil氏が男性であるため言及していませんが、これ以外にも託児所等の施設も完備しています。衣食住のすべてのカテゴリーをカバーするグーグルの福利厚生は、まさに至れり尽くせりです。

しかし、グーグルも何の理由もなく、従業員に大盤振る舞いをしているのではありません。記事ではその目的として、次のようなものを挙げています。

  1. 優秀な人材を採用する
  2. 食事や雑用の時間を減らして長時間働かせる
  3. 従業員を大切にしていることを目に見える形で示す
  4. 従業員が他社に移るのを引き留める

部外者には至れり尽くせりとも思えるグーグルの福利厚生策も、従業員が雑用で会社を離れる時間を惜しむほど業務量が多いことの裏返しであるとわかれば、羨ましさも半減と言ったところでしょうか。

さらに記事では、こうした施策もすべての従業員にとって魅力的なものではないだろう、と指摘しています。これは24時間アクセスできる電子メールや携帯電話の普及が、米国人のプライベートな時間を奪いつつあることと関係しています。

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ネーミングの罠「すててこ・ロングトランクス」と「個人請負・IC」

2007年01月11日

本日の日経流通新聞(2面)によれば、ユニクロが「すててこ」を「ロングトランクス」という呼称で、ネットに限定して売り出したところ、好評で完売続きになっているそうです。

ロングトランクス(ウインター)

ネーミングが変わっただけでヒット商品になるとは、まさにマーケティングの妙というものでしょう。

さて、雇用の多様化の結果近年増えつつある就労形態の1つが、「個人請負」です。その過酷な労働実態が、今週発売の週刊東洋経済にレポートされています。情報源は、『雇用破壊-「個人請負」という名の悲惨-「労働者」の権利を持たない労働者たち』(週刊東洋経済 2007年1月13日 54~57ページ)です。

委託契約社員、業務委託契約――。名称はさまざまだが、これらはすべて「個人請負」だ。個人請負とは、ある個人が企業から業務を請け負って働くことを指す。ほとんどは1社専属で、他の社員と同じように働いているため、契約社員と混同されがちだが、位置づけは個人事業主、自営業者。

身分は自営業者なので、労働基準法、労災保険法などの労働法がいっさい適用されない。残業手当、有給休暇はなく、業務災害による傷病でも一部を除き労災保険は給付されない。「解雇」制限もなく、職を失っても失業保険が給付されない。年金、健康保険は全額自己負担で国民健康保険、国民年金に加入する。企業にとっては、事業主負担部分である法定福利費を払う必要がない。

個人請負で働く人は近年急増しており、一説には全国で50万人とも70万人とも200万人ともいわれている。だがこの分野を正確に把握する公的統計や調査は存在せず、市場規模、就業実態など、その全体像は依然あいまいなままだ。職種は多種多様だが、最も身近なところでは、都心部を中心に最も速い配送手段として活用されている「バイク便」のライダーや、日々オフィスを回って乳製品を販売する「ヤクルトレディ」などは、ほぼ全員が個人請負だ。

この後の記事では、バイク便ライダーとヤクルトレディの労働実態が詳しく述べられています。完全歩合制のため、バイク便が月収20万円、一番稼ぐヤクルトレディでも25万円で、その過酷な労働条件と比較すれば、割のいい仕事ではありません。さらに各種社会保険もないために、事故や病気が原因で就労できなくなれば無収入に陥る不安も、常につきまといます。

このように会社との間で個人が業務委託契約を結んで就労する形態は、米国では「インディペンデント・コントラクター(IC)と呼ばれ、900万近いICが存在すると呼ばれています。このICの日本での普及とサポートを行っている団体が、「インディペンデント・コントラクター協会」です(インディペンデント・コントラクターは新しい雇用形態として定着するか)。

同協会の秋山進理事長は、団体の設立主旨として、次のように述べています。

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IT業界のモラル低下をもたらす人材不足と地方発SE育成の取り組み

2006年07月27日

相次ぐ大規模システム障害の発生は、IT業界で働く人間のモラルが近年著しく悪化したことと無関係ではありません。システムエンジニア(SE)の責任感や倫理観の欠如について、日経コンピュータの7月10日号『やはり危機に瀕していたIT業界の「モラル」』が詳しく分析しています。その中から、5月30日から6月7日にかけて日経BP社のサイト「ITPro」で実施したアンケート結果をご紹介します。

「3年から5年前と比べ、IT業界に所属する企業や組織、人材のモラルが欠如していると感じるか?」という質問に対する答えは、以下の通りです(有効回答者782人)。

    • 強く感じる 24.3%
    • やや感じる 42.2%
    • あまり感じない 29.5%
    • 全く感じない 1.4%
    • わからない 2.6%

回答者の3分の4以上がモラルの欠如を実感しています。さらに、4分の1以上が、強く感じているわけですから、事態は深刻です。

次が、モラルが欠如していると感じた具体的な事例を尋ねた質問の答えです。


SEアンケート結果

この回答がSEの仕事の"実態"を表しているとすれば、新聞を賑わすシステム障害事故は氷山の一角なのかもしれません。いつ第2、第3のシンドラー、パロマが起こってもおかしくないでしょう。

IT業界全体のモラル低下の遠因は、システムエンジニアの過酷な労働実態にあります。今週発売された一般経済誌の東洋経済でも、『システムエンジニアが壊れる』と題して、10ページにわたる特集記事が組まれています。本特集は、先ほど正式に自殺が労災と認められたSEの話からスタートします。情報源は、『システムエンジニアが壊れる-報われない85万人のブルー』(週刊東洋経済 2006年7月29日号 54~63ページ)です。

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人件費の長期固定化を避けたければ、いまや経営幹部もレンタルする時代

2005年11月18日

昨日、CEO以下の経営幹部を新聞公募したファーストリテイリングの話を紹介しました(一部上場企業ファーストリテイリング経営幹部も自民党候補者も公募する時代)。自社で採用しなくても、今や経営幹部を期間限定で借りる時代にもなっています。 情報源は、『ヒューマン・アソシエイツ、経営課題ごとに期間限定、幹部をあっせん』(2005年11月17日 日経産業新聞 18面)です。

人材紹介のヒューマン・アソシエイツは、期間限定で経営幹部を企業にあっせんする事業を今月下旬から始める。合併や事業部門統廃合などに伴い、当初の数カ月や数年間だけ役員や幹部級の人材を必要とする企業が対象。条件に合う人材に業務委託する形で、職務に当たらせる。

ヒューマンは自社で抱える経営幹部中心の登録者から、企業の条件に合う人材を選定。先方の了解を得て、受託した業務に就かせる。期間は案件ごとに決めるが、進ちょく状況により変更も可能。料金は部長級以上の人材で1カ月150―300万円程度になる。

現在、同社は約千社に人材を紹介している。従来の人材紹介では経営課題が解消した後も人員が残り、紹介先が処遇に困るなどの問題があった。「経営課題ごとに期間を区切ってほしいとの要望が多かった」(関谷裕之取締役)という。

「経営トップ・管理職の契約業務紹介」という内容でセミナーを開き、利用企業を開拓。初回は今月25日に東京都内で開く。2007年3月期に利用企業30社程度、部門売上高で1億5000万円を見込む。


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マクドナルド店長残業代支払い裁判が労働基準法改定に及ぼす影響

2005年10月17日

東京管理職ユニオンが要求していたマクドナルド店長の残業代の支払いに対して、マクドナルド側の回答は、全面拒否でした(おさまらないマクドナルド賃金不払い問題 今度は店長の残業代が槍玉に)。 マクドナルド側の主張は、店長は労働基準法で残業代の支払いの適用除外となっている「管理監督者」なので、支払い義務はないというものです。 交渉が決裂した結果を受けて、11月にはマクドナルド相手に残業代の支払いを求める訴訟を、店長側が起こすことになると予想されています。

一企業の労使問題に過ぎないはずの「マクドナルド裁判」の行方は、労働団体や弁護士等、多くの関係者からの注目を集めることになりそうです。 それは、マクドナルドの店長の身分に関する司法判断は、現在厚生労働省が検討中の「労働時間法制の見直し」にも、大きな影響を与えることが予想されているからです。 情報源は、『マクドナルド残業代訴訟、店長は監督者か-「割増賃金」対象狭める新法の死角』(2005年10月15日 週刊東洋経済 23ページ)です。

厚労省は2007年にも、労働者と使用者(企業)の雇用契約について、労使の権利・義務を明確にする「労働契約法」案を、国会に提出する準備を進めている。同時に、「残業には割増賃金を支払う」と定める労基法の規定を一部見直そうとしている。かねてより、日本経団連が導入を要望してきた「ホワイトカラー・イグゼンプション」と呼ばれる米国の制度がそれだ。

現行の労基法でも、管理監督者と、研究職、記者などの企画業務型の職種は、労働時間の自由度が高いとして、残業規制の対象外としている。「ファイナンシャルプランナーや企業法務など、労働時間の長さと成果が比例しない職種に、工場労働者がモデルの現行の残業代規制はなじまない」と、経団連の渡邉義広労働法制グループ長は言う。

経団連は新制度の導入で、残業代の支払いが不要な労働者の対象を、今よりも広げることを提言している。「年収400万円以上で、時間の制約が少ない頭脳系職種」(渡邉氏)が想定されている。

経団連の想定通りに進めば、「年収400万以上のホワイトカラーは残業代なし」ということで、サラリーマンのかなりの割合が、この対象に含まれることになります。それでは、この「ホワイトカラー・イグゼンプション」制度の導入を、当のサラリーマン自身はどう考えているのでしょうか?

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テンポスバスターズが鳴り物入りで始めた社長コンテストを早くも中止

2005年09月27日

中古品の厨房機器を再生する独自のビジネスモデルで成長を続けてきたのが、テンポスバスターズです。同社の森下篤史社長は、そのユニークな経営発想が注目されて、マスコミに登場する機会の多い元気なベンチャー起業家の1人です。その独自発想を象徴するのは、社長のポストを社内コンテストで選ぶという制度でしょう。しかし、今年開催が予定されていた社長コンテストは、2回目にして早くも挫折しました。情報源は、『テンポスバスターズ、社長コンテスト第2回は中止』(2005年9月26日 日経流通新聞MJ 23面)です。

テンポスバスターズは2003年から始めた幹部同士で社長の座を競い合う社内コンテストを、2006年4月期は実施しないことを決めた。参加者希望者が少なかったため。今後は社長候補を育成するために社内で資格認定制度を導入、人材教育を強化する。

同社のコンテストは、森下篤史社長と役員級の幹部が各担当店舗を決めて、半年間の粗利益や商品調達力、部下の教育など5項目を競い合う。公認会計士らの審査によって決まった優勝者が社長のポストと報酬を手に入れる仕組みだ。

03年秋に開いた第1回コンテストでは森下社長のほか7人の幹部が参戦し、森下社長が勝利した。2年に1度、実施する予定だった。

今秋に第2回大会を予定していたが、幹部の参戦を募ったところ「優勝しても社長職を引き受けられる自信がない」との声が多かった。将来の社長を任せられる人材の育成が必要と判断し、争奪戦をいったん中止した。今後は社長職をかけずに、5~10人の幹部を対象にした社内コンテストを開き、優秀者を将来の社長候補として育成する形式に切り替える。

2年前には、自ら社長に挑戦したいと考えたつわものが7人もいたのに、今回はそれがゼロになってしまったわけです。なぜ、この2年間に状況が急転してしまったのでしょうか? 実はこの2年間で、同社のビジネスモデルがすでに成長の限界を迎えたようで、それを見越した株価も完全に右肩下がりに変調しています。情報源は、『誤算の研究-テンポスバスターズ-評価による統制に限界』(2005年9月24日 日経情報ストラテジー 203~206ページ)です。

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おさまらないマクドナルド賃金不払い問題 今度は店長の残業代が槍玉に

2005年09月08日

日本マクドナルドがアルバイトの賃金を支払っていなかった問題について、前回投稿しました(従業員賃金不払い、FC店舗廃業、原田体制の日本マクドナルドに不満続出)。この問題は、2年前までにさかのぼって、約10億円に及ぶ金額をマクドナルド側が支払うことで、決着を迎えたようです。

今度は、店長の残業代が不払いである問題も浮上してきました。マクドナルドの経営に与える影響の大きさは、アルバイト問題の比ではありません。 情報源は、『スクープ 日本マクドナルドに新事実-賃金不払いさらに100億円か』(2005年9月10日 週刊東洋経済 18~19面)です。

今回、新たに判明した賃金不払い疑惑は、アルバイトや一般社員とは別の話。約1500人の直営店店長のサービス残業(賃金不払い残業)をめぐる問題である。

同社店長の残業時間は、「少なく見積もっても月平均70時間程度」(現役店長)。この実態に即して店長1500人分の「本来の残業代」を試算すると、過去にさかのぼって給料を請求できる最長の2年分に限定しても、時間外労働の割り増し分を掛け合わせた総額は100億円に迫る。

しかし、日本マクドナルドでは、店長に残業代が支払われていない。店長は「一国一城の主である管理職」(同社幹部)であり、労働基準法で時間外労働に適正な賃金を支払わなければならないと定める、第37条の適用を除外される41条2号の「管理監督者」だとしているためだ。

これに異を唱えたのが、労働組合の東京管理職ユニオン。月100時間超の過酷な労働環境の改善を求め、ユニオンに駆け込んだ現役店長の相談を受け、日本マクドナルドに団体交渉を要求。6月末に第1回が開催され、これまで5回の交渉を重ねている。

ユニオンが主張しているのは、マクドナルドの店長は「管理監督者」ではなく、一般労働者であるという点。これが認められれば、日本マクドナルドは、これまで不払いだった店長のサービス残業代を支払わなければならなくなる。

和解にせよ、判決にせよ、マクドナルドが主張する「店長は管理監督者」が認められなければ、サービス残業問題で過去最高水準の支払い額となるのは必至。商品戦略で失敗し、業績回復に急ブレーキがかかった同社にとっては大ダメージだ。原田泳幸社長の責任問題にもつながりかねない。前回同様、他の外食大手をはじめ、サービス業全般に波及する可能性も出てくる。

マクドナルドは店長に時間外労働がないと主張しているわけではありません。店長は労働基準法で残業代の支払いの適用除外となっている「管理監督者」なので、残業代を支払う必要がない、と主張しています。一方、東京管理職ユニオンは、一般労働者にすぎない店長も、残業代の支払い対象であるべきと考えています。したがって、争点は「管理監督者」の解釈にあります。この点に関して、記事では次のように説明しています。

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団塊の世代退職後の2007年問題とバブル期大量採用問題、どちらが深刻?

2005年05月17日

「2007年問題」という言葉をご存知でしょうか? これは我が国の企業の人員構成において大きな割合を占めている団塊の世代が、一挙に第一線から退く2007年以降に発生が予想される社会的・経済的問題の総称です。この問題に関する分析が、今週発売の週刊東洋経済で特集されました。 情報源は、『団塊700万人退場の衝撃-技の断絶-現場は大丈夫か』(週刊東洋経済 2005年5月21日号 28~43ページ)です。

戦後ベビーブームの1947~49年に生まれた「団塊の世代」691万人が、20077年から順次定年退職へ突入する。総人口の5.4%を成す一群の短期間での“退出”は近代以降の世界で前例がない。この現象が社会に与える影響が今、さまざまな角度から語られ始めている。

短期的には、人件費軽減がもたらす企業業績の浮上、退職金という一時所得を手にした人々の消費意欲の高まり、人手不足から来る失業率の改善。しかし中期的には、恒常的な所得減に伴い貯蓄率は低下、消費ブームも沈静化し、企業はあらためて市場縮小に対応するためのコスト削減を強化――。

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外資系IT企業が先陣を切って進める就労環境の効率化と福利厚生の充実

2004年08月17日

大手の外資系IT企業の日本法人は、従業員の就労形態の多様化や福利厚生面の拡充策に積極的に取り組んでいます。8月14日の日経新聞夕刊1面に、日本オラクルが全社員に在宅勤務制を導入する計画であるとの記事が掲載されました。オリンピック開会式直後の土曜日の夕刊に載った記事なので、そんなに真剣に読んだ人も少なく、見落とした人もかなりいるのではないでしょうか。オラクルの広報担当者の落胆している姿が目に浮かびます。週末の日経に出るような記事は、たいていの場合、速報の必要もなくてかなり前に取材済みの、埋め草的な性格が強いものです。広報担当者側としては、ビジネス関連記事の精読率の高い、平日の朝刊に掲載されることを期待するのが普通です。

日本オラクルは来春をメドに、全社員1448人を対象にした在宅勤務制度を導入する。最低週一回程度の出勤を義務づけるが、それ以外は自宅やホテル、海外などどこでも自由に仕事をできるようにする。出社の手間を省いて業務効率の向上を図るとともに、大規模災害などでオフィスが閉鎖された場合でも業務を継続しやすい体制を確保する。

大手企業の間で特定の職種や職場で在宅勤務制度を導入する動きは広がっているが、全社員に適用するのはまだ珍しい。
9月1日から顧客サポート担当部門の約300人を対象に導入、経理、総務など他の部署に順次広げていく。早ければ来年3月までに全部署に導入する。大規模災害やテロ、事故などで事務所閉鎖などの緊急事態が起きても、業務を長期間停止せずに再開できる体制を敷くことも狙う。 昨年10月から75人を対象に試験的に運用したところ、全体の8割の社員が週1~2回の在宅勤務を希望したため、全社員への適用に踏み切る。試験導入では上司への成果報告が頻繁になり、業務効率が向上するなどの効果も確認できたという。

【閑話休題】オラクル社内で予想される会話

課長「明日、君はオフィスに出社するの?」
部下「私はテレコミ(*)です。課長は?」
課長「あ、そう。オラクル(おら来る)よ。」
(*)在宅勤務の英語 telecommuting の略。外資は何でも縮めることが多い。

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タイトル・マーケティング(タイトルもメディアに応じて使い分けよ)

2004年06月10日

本日の日経新聞に「虚妄の成果主義」の著者である、東京大学高橋伸夫教授の論説がのっていました。 以下に、その内容の一部を抜粋、要約します。

『日本型年功制を生かせ』日本経済新聞 2004年6月9日 27面

近年の社会学的実験でも、金銭を中心とする外的報酬は、仕事の動機づけとはならないことが明らかになっている。むしろ、金銭的な報酬が、仕事の喜びを奪う可能性すらある。
金銭的報酬がなくても、人間は内的な満足感を求めて仕事をするものである。金銭的報酬の要素が入ってくると、それが仕事と満足の間に割り込み、「仕事→金→満足」と、金のために仕事をするように変わってしまう。だから、金がなくなると、満足も得られなくなり、仕事をする気もなくなってしまう。

これが、成果主義が失敗する理由である。「成果を上げれば金をたくさん払うから、嫌な仕事でも文句を言わずに働け」では、人は懸命には働かない。仕事自体にやりがいや面白さを見出せるようなシステムを作らなければ、人は働かない。

「日本型年功制」は、本質的に給料で報いるシステムではなく、次の仕事の内容で報いるシステムだった。給料は、後顧の憂いを取り除き、安心して働くために、動機づけとは切り離して、生活費を保障するという観点から、年齢別生活費保障給型賃金カーブがベース・ライン(平均値)として設計されてきた。
この両輪が日本の企業の成長を支えてきたのである。それは、従業員が日々の生活の不安におびえることなく仕事に没頭し、仕事の内容そのものによって動機づけられるという内発的動機づけの理論からすると最も自然なモデルでもあった。

そもそも、先達が築きあげてきた日本型の人事システムを年功序列だと思い込むこと自体、企業人としての常識を疑う。
明らかに年功序列ではない。仕事の報酬は次の仕事なので、まずは仕事、次いで賃金などの処遇に差のつくシステムだったのである。賃金カーブはあくまでも平均値であり、年齢が進むにつれて大きな差がついた。

成果主義を導入する人は、今のままではいけないと口にする。しかし同時に、結果的には日本型年功制の運用改善に落ち着く可能性が大だとも口にする。そこまでわかっているなら、寄り道せずに、まっすぐにそこを目指すのが、従業員の生活を預かる人間のするべきことであろう。日本型年功制の運用改善こそベスト。どうかそのことに早く気がついてほしい。

筆者の結論は、記事の最後にある、『日本型年功制の運用改善こそベスト』です。長々と引用したくせに、今回は成果主義の問題そのもについては、触れないことにします。私は、成果主義と密接に関係している目標管理制度(MBO:Management By Objective)の運用こそが問題だと考えています。この点は、また改めて書くことにします。

私が注目したのは、この記事のタイトル『日本型年功制を生かせ』です。記事の中で展開する主張は、著書の『虚妄の成果主義』そのものです。それでは、ほぼ同じ論旨であるのにもかかわらず、なぜ2つのタイトルは異なるものとなっているのでしょうか。なぜ新聞記事の方には、『虚妄の成果主義』という言葉を使わないのでしょうか。それは、筆者が、書籍と経済新聞という媒体の特性を配慮して、巧みにタイトルを使い分けているからだと思います。

『虚妄の成果主義』というタイトルは、センセーショナルとは言わないまでも、論議の種を巻くには十分なインパクトがあります。「虚妄」とは、嘘、偽りのことですから。これまで異論が唱えられることの少なかった成果主義を、真っ向否定するという姿勢が伝わる強烈なタイトルです。実際に、筆者の狙いは成功して、相当数の書評が取り上げました。また、今週発売の週刊ダイヤモンドでも、14ページにわたり「明るい成果主義」の特集が組まれています。 書籍のタイトルを『虚妄の成果主義』としたことは、マーケティング的には大正解といえます。

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フリーター全面否定を超えて(ソフト産業の担い手として期待)

2004年06月09日

今週発売の東洋経済に、現在問題となりつつあるフリーターを、日本の非ITソフト産業の担い手として、積極的に活用すべきと提案する記事がありました。 筆者は、マネジメント・コンサルティング会社、ボストンコンサルティンググループ(BCG)のヴァイス・プレジデントの御立尚資(みたちたかし)氏です。

週刊東洋経済0612週刊東洋経済 2004年6月12日号 p.108-10
文化的影響力強化と人材育成
日本のソフト戦略のカギ握る「フリーター」

以下に、筆者の論点を要約します。

日本製のアニメ、ゲーム、トレンディドラマなどは、われわれが想像する以上に日本の高感度UPに貢献している。
日本でもこのような文化的影響力拡大の重要性が、認識されるようになり、ソフト産業強化策も打たれ始めた。

しかし、現在の主流である、著作権保護の強化策だけでは、映画、アニメ、音楽、キャラクターといった、非ITソフト産業を振興していくには、不十分。
これからの日本の非ITソフト産業強化の重点は、著作権保護から、ソフトを想像し、商業的に成功させる人的資源の強化、拡大にシフトしていかねばならない。

そのための必要条件となるのが、豊かなホームマーケットと目の肥えた消費者の存在。生まれた時からモノが十分にある時代を過ごしてきた、ライフスタイルを持つ団塊ジュニアの存在は、この条件を満足する。
十分条件は、とがったクリエーター(作り手)と優れたプロデューサーを輩出すること。 残念ながら、現在の日本の社会システムや企業の人事システムでは、多数のクリエーターを育てることには、適してはいない。 プロデューサー、特に日本のコンテンツを海外に展開できるような能力を持った、プロデューサーも絶対数が不足している。

そこで、注目すべきは、現在400万人を超えるともいわれている、フリーターの存在。 日本社会では、このフリーターをネガティブにとらえる風潮が強いが、彼らこそ、日本の非ITソフト産業の未来を担う貴重な人材になる可能性は高い。
クリエーティブな人材を増やし、強化するには、「よいフリーター」と「悪いフリーター」を峻別し、社会全体が「よいフリーター」をポジティブに認識した上で、様々な不利益を解消していくことが必要。

好きなことをやりたいというフリーターに、目標達成に向けた強力な意志を持たせるカギは、「あこがれ」を作り出すことである。
例えば、企業、非営利団体、ネットコミュニティなどで、優秀なクリエーターを認知して表彰する「アワード」も有効な手段の一つ。
さらに、企業の人事報酬システムの変革も不可欠。雇用形態にかかわらず、貢献に応じた十分な報償が得られる仕組みを導入する必要がある。

国際的な視野を持った人材の育成のためには、プロデューサー候補に語学と海外マーケティングを教える教育機関の設立や、海外留学フェローシップ制度の導入などが有効となる。もともと感性とビジネス感覚に優れた、プロデューサー型人材は、海外体験の機会さえ与えれば、自分自身で「海外勘」を磨くことができるはずだ。

最近はマスコミでも、若者が正社員として就労しない/できない、いわゆるフリーターの問題を取り上げられることが多くなりました。これまでは、若者自身の将来的な不安など、その論調は基本的にフリーターの存在を否定的にとらえるものが主流でした。その中で、フリーターを全面的に否定せずに、むしろその長所を活かしていこうという提言をのべる、この東洋経済の記事は、極めてユニークな発想に基づくものです。

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成果主義は虚妄か?「UP or OUT」

2004年05月08日

企業の人事処遇制度改革の柱であった成果主義を見直す動きが出できた。

虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ虚妄の成果主義―日本型年功制復活のススメ: 高橋 伸夫 (著)
揺れるトップ、悩める人事、落ち込む一般社員におくる、学問的立場から初の「成果主義」粉砕の書。経営学・経営組織論を専門とする東大教授が、企業現場でのエピソードもまじえつつ、「成果主義」の無惨で愚かしい正体を解き明かす。

成果主義見直しの動きの背景には、企業業績の回復があることは間違いない。 今回の業績回復は、雇用の増加を伴わない、いわゆる Jobless Recovery の側面が大きいので、社員の閉塞感の方はいっこうに改善しない。リストラで職を失わずにすんだ社員の疲弊感が、むしろ強まる傾向にある。

過半数の企業で 「質、量ともに負担が増大」 【Intelligence】

5年前と比べて若手社員の「仕事量が増えた」「仕事の範囲が拡がった」「仕事の内容が高度化した」と答えた企業がいずれも過半数に上った。これらは昨今のリストラの進展によって社員数を押さえ込む一方、企業として収益をあげるための仕事の全体量が変わらない中、必然的に生じたことといえる。(中略 )

このような状況下、若手社員の会社への帰属意識は低下傾向にあるようだ。5年前と比べて「やや低下した」「低くなった」とする企業がやはり半数近くあり、一方で「高まった」とする企業はごくわずかしかない。

そのため企業の側では、処遇制度の見直しや、モラール(士気)の維持・向上、キャリアプランの明確化を今後の課題として考えているという。社員が企業を見る目も厳しくなっているのだ。
このような企業と社員の緊張関係は、終身雇用制度と手厚い福利厚生といった「御恩と奉公」のようなかつての会社組織を知る人には信じられないかもしれない。

果たして、これから日本企業では、脱・成果主義の方向に軌道修正が起こるのか。

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